注文住宅の知識

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地下室付きの注文住宅の費用・価格は?相場やメリット・デメリットをプロ視点で紹介

 

音楽スタジオやシアタールーム、ホームバー、トレーニングジム、プレイルームなど誰にも気兼ねすることなく自分の趣味を楽しむために、地下室付きの注文住宅を建てたいと思う人が多いのではないでしょうか。

しかし、建築費のことや建築法規の制約、湿気対策、採光や換気の問題など、地下室付きの注文住宅を建築する際には気になる点がたくさんあると思います。

そこで本記事では、地下室付き注文住宅の費用相場や注意点など事前に知っておくべきことや、施工事例などをご紹介します。

注文住宅に地下室を設けるメリット

注文住宅で地下室を設けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まずは地下室のメリットをご紹介します。

自由な用途に利用可能な空間を設けることができる

地下室は外部への音漏れが少ないため、マイホームの中に音楽スタジオやシアタールームなどの遮音性の高い部屋を設置するのに最適です。
音楽スタジオやアトリエは、生徒を集めて音楽教室や陶芸教室などとして利用することもできるでしょう。
またカラオケなどが楽しめるパーティールームやホームバー、トレーニングジムなどとしても利用することができ、非日常的な秘密の隠れ家的空間として様々な活用方法があるのがメリットです。

地上よりも地震に対して安全

地下室は地盤に囲まれているために地震の揺れが軽減され、地上にある構造物よりも地震に対する安全性が高いといわれています。
また近年では、地震や台風、竜巻などの自然災害やミサイルの脅威、原発事故、飛翔物体など万が一の事態に備えるためのシェルター(避難所)としての機能を併せ持った地下室も少しずつ注目を集める様になっています。

温度が安定している

地下室は外気温の影響を受けにくいため、1年を通じて温度が安定しています。
地表面から3.2mの深さの地中温度は、関東では年間を通しておよそ13℃~21℃の間しか変化しないといわれ、夏は涼しく、冬は暖かいのが特徴です。

容積率の緩和が受けられる

地下室は一定の基準を満たすことで、容積率に算入しなくてもよいとされています。
一定の条件とは

  • ・地階(地下室)の床から地盤までの高さがその階の天井の高さの1/3以上
  • ・天井から地盤までが1m以下
  • ・住宅の用途に供するもので、同建築物の床面積合計の1/3以下

地下室を設けてこの様な容積率の緩和を利用することで、容積率の制限が厳しいエリアであっても、住宅の広さを確保することができる様になります。

地下室付の注文住宅は、同じ面積の一般的な注文住宅と比較して価格が高くなりますが、地価が高いエリアでは広い土地を購入するよりも、狭い土地に地下室付きの注文住宅を建てた方がコストを抑えられることがあります。

近年では狭小地で少しでも広い家を建てるための方法として、土地を有効利用できる地下室が注目されつつあります。

注文住宅に地下室を設置するデメリット

地下室に憧れる人は数多くいたとしても、実際に地下室付きの注文住宅を建てている人はそう多くはありません。

地下室のデメリットにはどの様なことがあるのでしょうか。

順番に紹介していきましょう。

建築費用が高額になる

地下室を作るためには土を掘るための土工事費用や躯体工事費用、防水工事費用などの他、地下にトイレやキッチンなどの水回り設備を設ける場合には、汚水を排出するための排水ピットや排水ポンプなどの設備費用が必要になります。

したがって一般的に地下室は、地上部分の建物よりも費用がかかります。
地下室の躯体部分だけでも1坪当たり50~80万円程度の費用がかかってしまうことも珍しくありません。
また地面を掘ると地下水が湧いて施工に支障が出る場合には、さらに高額な費用がかかってしまいます。

地下室の用途や敷地の条件等によっても建築費用が大きく変わるので、事前に地盤を確認し、必要な広さや用途を明確にしておくことが大切です。

工期がかかる

地下室工事では大量の土砂を搬出し、山留めや型枠、配筋、コンクリート工事が通常の基礎工事よりも大がかりになり、また近隣への配慮が必要になるので、通常の注文住宅を建てるよりも工期が最低でも1か月以上長くなります。

環境の改善が必要になる

夏場に外気温よりも低くなる地下室では、夏の湿った空気が入り込むと結露しやすくなるので、法律で義務付けされている24時間換気システムの導入はもちろんのこと、除湿対策も必要になります。

夏場の湿度管理と除湿が面倒なのが欠点です。

また、日当たりを確保するための対策も必要です。

「ドライエリア(空堀り)」を設けて窓を設置するなどの対策をおこなうことで、採光や換気の問題を解消することができます。

雨水対策が必要になる

地下室を設ける上では、地中からの水が地下室内に入り込まないための防水工事だけでなく、集中豪雨などによる浸水被害対策も不可欠になります。
ドライエリアのコンクリート壁の高さを確保する、十分な排水対策を行うなど、災害発生時に予想される水位をあらかじめ確認して対策を講じておく必要があります。

避難経路の確保が必要になる

地下室から屋外に出るための経路が地下室から1階へと通じる室内階段のみだと、火事や地震の際に逃げ遅れてしまう可能性があります。
したがって地下室からの避難経路を確保するための対策を講じる必要があります。
ドライエリアから地上に上がるための階段を設けるなどの対策が必要です。

地下室における建築基準法上の制約

地下室を設ける上で、建築基準法上どのような制約を受けるのでしょうか。

地下室は、基本的には建築基準法上の「居室」として認められません。
納戸やサービスルームとしての扱いになります。

建築基準法で「居室」として認められるためには、採光が確保できる窓の面積(有効採光面積)を床面積の1/7以上、換気のための開口部を床面積の1/20以上設けなければなりません。

しかし、ドライエリアを設けて採光や換気などの建築基準法上の規定を満たすことで「居室」として認められるようになります。

注文住宅の地下室の4つの種類

地下室にも様々なタイプがあり、それぞれに特徴があります。
ここでは地下室の種類をご紹介します。

・クローズドタイプ(全地下タイプ)

部屋全体が地下に埋まっているもので、地下室の代表的なタイプです。
外部からの視線を遮ることができ、遮音性・断熱性に優れています。

・オープンタイプ

傾斜地や敷地の高低差を利用したタイプで、開口部に面して複数の居室を設けることもできます。

・ドライエリアタイプ

地下室の前に採光や換気のためのドライエリア(空堀り)を設けたタイプです。
地下室に掃き出し窓の様な大きな窓やドアを設置することも可能で、広い庭の様なドライエリアを設けたものをサンクンガーデンタイプと呼ぶこともあります。

・その他のタイプ

半地下として壁に小窓を設けたり、密閉された地下にトップライトを設けて外からの自然光を取り入れたりしたものがあります。
ドライエリアを設けるスペースがない場合や、ドライエリアを設けるコストを節約して採光を確保したい場合に有効です。
ただし半地下にする場合には、地上に出し過ぎると建築基準法上の地下と認められずに容積率の緩和が受けられなくなってしまうので注意が必要です。

地下室付き注文住宅の事例を6つ紹介

地下室は地中にあり周囲を厚い鉄筋コンクリートで囲われているため、遮音性や断熱性に優れ、様々な用途に利用できます。
ここでは代表的な地下室の6つの事例をご紹介します。

音楽スタジオ、シアタールーム

クローズドタイプ(全地下タイプ)の地下室であれば音漏れの心配がないので、大音量で楽器を演奏したりDVDを鑑賞したりするための音楽スタジオやシアタールームとして利用するのに最適です。

プロジェクターで投影する大スクリーンを設けることで、誰にも気兼ねすることなく好きな時間に好きなだけ映画や音楽を満喫することができます。
またバーカウンターやカラオケマシン等を設置すれば、パーティールームとしても活用可能です。

トレーニングルーム、ホームジム

周囲を厚い鉄筋コンクリートで覆われた地下室では、上の階に振動が伝わりにくく、飛んだり跳ねたりすることも気兼ねなくできるので、様々なトレーニングマシンを設置したホームジムとして活用することもできます。
また、ビリヤード台や卓球台を設置してプレイルームとして使用することもできるでしょう。
ただし「天井高」をやや高めにしておく必要があるので要注意です。

ワインセラー、備蓄倉庫

ワインを集めることが趣味の人にとって、年間を通して温度が比較的安定している地下室はワインを保管するのに最適です。
ワインは温度や湿度管理が厳しいことに加え、光や臭いに対しても気を使わなければならないので、気密性が高くて室温や湿度のコントロールが比較的容易な地下室は、海外でもワインセラーとして活用されることが多い様です。

その他では食品の備蓄倉庫としてや、漬物や発酵食品などの保管場所としても適しています。
ただしその場合には、室温や湿度が居室としての最適な環境とは異なるので、それぞれの目的に応じて部屋を完全に区画する必要があります。

アトリエ、工房、書斎

模型作りや絵画、陶芸などの創作活動が趣味の方にとって、地下室は誰にも邪魔されることなく創作活動に集中できるので、アトリエとして利用することができます。
また、道具や材料、作品などを大量にストックしておくのにもとても便利です。

書斎として活用しても、静かに読書にふけることができるのでおすすめ。

ただし、オープンタイプや半地下タイプ、ドライエリアタイプ等、自然光を上手に取り入れる工夫が必要になります。

寝室

地下室は趣味のスペースや納戸、倉庫としてだけでなく、ドライエリアなどを設けて採光や換気を確保することで居室として利用することもできます。

外部の音を遮断することができ、外気温の影響を受けにくいため特に寝室に適しています。
都心部に多い狭小地では、地下室を設けて容積率の緩和を受けることで、あきらめていた個室を持つことも可能になります。
調湿効果の高い内装材を使用すると湿気対策として有効です。

ガレージ

傾斜地や敷地の高低差を利用したオープンタイプの地下室は、ガレージとして使用することもできます。
リビングルームと隣接させて愛車を眺めながらゆっくりとくつろぐことができる空間を実現させることも可能です。

地下室付き注文住宅を建てる際の3つの注意点

地下室付きの注文住宅を建てる上では、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
この章では地下室付き注文住宅の注意点を解説します。

止水対策

地下室は地盤面よりも下にあるので、地下水の侵入を防ぐための防水工事が欠かせません。

近年ではコンクリートの水密性を高めるために特殊な工法を採用したり、コンクリートを改良したりすることで、コンクリートそのものは防水効果が高い材料になっています。
しかしコンクリートの打ち継ぎ部分やジャンカと呼ばれる部分から雨水が侵入してしまう恐れがあるため、地下室を作る際には防水工事が必要になります。

一方で防水工事にもグレードがあり、地下室の用途に応じた防水工事を行うことが大切です。
グレードによって当然コストも変わりますが、この選択を誤ってしまうと後々漏水してしまって多額の補修費用がかかったり、地下室が使用できなくなってしまったりするので注意が必要です。

一般的には止水板とシーリングでコンクリートの止水対策を行った上で、アスファルトやウレタンを吹き付けてコンクリート面の防水処理を行います。

湿気対策

地下室に対してジメジメとしてカビ臭いので、とても居室として利用することはできないと思っている方が多いと思います。

しかし前述した様に地下室に湿気がこもる原因は、夏場に外気温よりも温度が低くなる地下室に高温多湿の外気が流れ込んで、結露を起こしてしまうことにあります。
しかし適切な対策を講じることで、結露やカビの発生を防ぐことができます。

  • ・湿った外気を直接部屋の中に入れないために、全熱交換型の換気扇を設置する
  • ・開口部から流入してしまった外気の水分や室内で発生する水分を除去するための除湿設備を設置する
  • ・躯体面の断熱工事を行う

高温多湿な我が国の夏場の気象条件では、この様な対策が不可欠になります。

建築業者の選定

一般の木造住宅会社に地下室付き注文住宅の建築を依頼する場合には、地下室の施工は中小のゼネコンに外注するケースが多くなります。

地下室の工事では、コンクリートの施工品質が非常に重要で、強度や耐久性に直接影響するだけでなく、止水対策や湿気対策の面でも高い品質管理能力が必要になります。
そのため地下室の設計や施工の実績が少ない業者に依頼してしまうと、コストが2倍以上かかってしまったり、大幅な工期の遅延を招いてしまったりすることがあります。

また地下室建設にかかるコストを比較する際には、業者によって金額の提示方法が異なるため、地下室付き注文住宅のトータル費用で比較することが大切です。

一方、ハウスメーカーにも地下室付きの注文住宅の建築を依頼することができますが、ハウスメーカーは半ば規格化された住宅の建築を得意としているので、地下室の設計や施工には不慣れなことが多いと思います。

建築業者を選定する上では事前に情報収集を行い、地下室の施工実績がどれくらいあるのかを十分に確認しておくことが重要です。

まとめ

趣味に没頭できる自分だけの部屋を持ちたい、非日常的な隠れ家的な空間が欲しい・・・そんな希望を叶えるために地下室に憧れる方が多いのではないでしょうか。

20年程前までは暗くてジメジメしたイメージが強く、あまり良い印象を持つ人が少なかった地下室ですが、近年では防水工事の改良や空調・換気・調湿対策の充実に伴って、地下室でも快適な空間を確保できるようになりました。

しかし地下室を作るための費用は高額になり、立地条件や用途によって費用が大きく変わってしまうため、決まった相場がありません。

また、設計や施工にも通常の注文住宅にはないスキルが必要になるため、施工実績が豊富な依頼先を選ぶ必要があります。

高額なコストがかかる地下室ですが、狭い敷地でも容積率の緩和が受けられる、1年を通じて室内の温度が安定し地震に強い、などたくさんのメリットがあります。

まだまだ一般的とはいえない地下室ですが、地下室のメリットや注意すべき点を事前に良く知っておくことで、より前向きに検討することができると思います。

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