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地面師が海喜館で積水ハウスから55億円、アパホテルから12億円を欺いた手口~ガイアの夜明けでも特集~

 

地面師(じめんし)とは、「土地や建物などの不動産の所有者になりすまし、不動産を勝手に売却したり、担保にいれて銀行から借り入れを行うなどの詐欺行為を行う集団」のことを指します。

「不動産の所有者になりすます事なんてできるの?」と感じる人も多いでしょう。

しかし地面師は、本人書類を偽造し、弁護士や司法書士なども味方に付け、土地の所有者に似た人をスカウト・演技指導までしてなりすましをやってのけます。

最近、大手ハウスメーカーの「積水ハウス」や大手ホテルチェーンの「アパホテル」が詐欺被害に遭ったことで、「地面師」の存在を知った人も多いでしょう。

今回の記事では、

・大手ハウスメーカーの積水ハウスはなぜ詐欺を見抜けなかったのか

・地面師達はどのような手口で犯行に及んだのか

・これまでの地面師の歴史やアパホテルを含む過去の事件について

など、地面師についてとことん詳しくわかりやすく解説をしていきます。

この記事を読んでいただければ、地面師の全貌を掴むことができるので、興味のある人はぜひ読み進めてみてください。

もくじ

55億円の被害額を出した「積水ハウス事件」のまとめ

2017年の8月2日、「積水ハウス」は「分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして」という発表を出しました。

内容を要約すると、

・分譲マンションを建設するための用地を購入したが、所有権の移転ができなかった
・登記申請時に不正な書類が紛れていることが発覚し、所有者とも連絡が取れなくなった
・犯罪行為に巻き込まれたと判断し、顧問弁護士によるチームを編成して代金の回収につとめる

とあります。

この発表にある「取引事故」こそ、世間を騒がせた「積水ハウス事件」だったのです。

事件は五反田から徒歩3分の旅館「海喜館」で起こった

今回の「積水ハウス事件」の舞台になったのは、山手線五反田駅の西口から徒歩3分、目黒川を渡ってすぐの位置にある「海喜館(うみきかん)」です。

(↑五反田駅西口から目黒川を渡ってすぐ右側の一帯に、木々が生い茂るエリアが)

(↑以前はかけられていた海喜館の看板も、2019年2月現在ははがされています)

(↑2019年2月現在は、一部の箇所は緑色のネットで囲われている箇所も)

すでに長期間営業はしておらず、不気味なたたずまいから一部の人は「怪奇館」と呼んでいるほど。

山手線の駅から徒歩3分の好立地にある2000㎡の敷地を誇る海喜館は、廃業以降多くの不動産業者から建設用地として狙われていました。

海喜館の本当の地主は海老澤妃子さん

海喜館の地主は、海老澤妃子さん75歳。

五反田生まれで、生まれた時にはすでに運営されていた海喜館を、1975年に相続します。

相続後もしばらく経営をしていた海喜館でしたが、近隣にあたらしい宿泊施設が建設されていき、次第に経営状況は悪化していきました。

4年前の2015年に海喜館を廃業した海老澤さんは、思い出の海喜館を手放すことなく、そのまま旅館に居住していたといいます。

廃業の話を聞きつけた不動産業者は、海喜館の土地に新しいマンションを建てれば高値で売れると考え、海老澤さんに売却の話を持ち掛けました。

しかし、海老澤さんは決して首を縦に振らず、所有し続ける姿勢を見せます。

それからしばらくして、海老澤さんは高齢のせいもあって体調は崩し、入院生活を余儀なくされるのです。

廃業後の海喜館に目を付けたのが地面師グループ

絶好の立地にある旅館の所有者が、高齢で入院中の状態にある。

地面師は、そんな恰好のチャンスを見過ごしませんでした。

不動産の所有者になりすます地面師にとって、所有者が亡くなっている、もしくは入院している状態は一番理想的であるといえます。

積水ハウス事件を首謀した「内田マイク」容疑者

格好のチャンスに乗じて積水ハウス事件を首謀したのが、地面師の代表格ともいわれる「内田マイク」容疑者です。

最初は、海喜館の土地所有者になりすまして、土地を担保に入れる代わりに融資を引く、「融資詐欺」を画策します。

そこから、積水ハウス事件の実行犯である小山操(カミンスカス操)容疑者主導のもと、土地をそのまま売却してしまう計画へとすすめていくことになります。

旅館の所有者を演じたのが元生保レディーの「羽毛田正美」容疑者

地面師グループは、海喜館を売却するための策を練り始めます。

まずは、所有者である海老澤さんになりすます人間のスカウトが始まりました。

これまで何度もなりすまし役をスカウトしてきた「秋葉紘子」容疑者が手配し、「羽毛田正美」容疑者が本人役に抜擢されました。

積水ハウス事件の中心人物である「カミンスカス操(旧姓 小山操)」容疑者

さきほど登場した、積水ハウス事件の中心人物である地面師、「カミンスカス操」こと小山操容疑者が計画を実行に移します。

もともとマンションデベロッパーであった「ABCホーム」の財務部長まで務めた小山容疑者は、不動産関係のツテを豊富に持っていました。

土地の売却相手を探していく中で、つながりのあった積水ハウスを選んだのもカミンスカス操容疑者だといわれており、「積水ハウス事件」の首謀者といっても過言ではないでしょう。

売買の話が進む中、海老澤妃子を名乗る人物から内容証明が届く

地面師グループは、本人証明のパスポート偽造や、土地の権利証の偽造など書類の手配を進めます。

同時に、小山のツテを通じて積水ハウスに海喜館を売買する話をもちかけ、取引は順調に進みました。

そんな中、本来の土地所有者である「海老澤妃子」を名乗る人物から、「取引はなりすましだ」という旨の内容証明が積水ハウスに届きます。

積水ハウスは、海老澤さんに成りすましている羽毛田容疑者に文章を確認するものの、「自分は書いていない」と証言したため、怪文書として取り合いませんでした。

というのも、海喜館は不動産業者がのどから手が出るほど欲しがっている土地。

今回の取引を阻止しようとする同業者からの妨害行為であると考えるのはある意味で自然でもありました。

積水ハウスは総額63億円を支払うも、法務局で登記を却下される

結局そのまま売買契約が成立し、積水ハウスは総額63億円を支払います。(最終的な被害額は55億5千万円)

決済日は2017年の6月1日で、そこから約1週間後の6月9日に、所有者の移転登記法務局に実施します。

しかし、法務局で手続きをする際、書類の中に不正なものが混じっていることが判明したため、登記手続きは却下されてしまいます。

この段階で、積水ハウス側が被害にあったことに気づいたというわけです。

積水ハウスの担当者はなぜ詐欺に気づけなかった?

積水ハウス事件のカンタンな流れはこれまで説明した通りです。

最後に疑問に残るのは、「なぜ積水ハウスほどの経験と実績を持った企業が、地面師の手口を見抜けなかったのか」というポイント。

最たる理由は、海喜館が好立地にあり、多くの業者が欲しがっていた土地であったため、取引を急いでいたことにあります。

大きな利益を得られるチャンスを逃してしまうと、今度は別の意味で営業担当者の責任が問われてしまいます。

海老澤さん本人の内容証明が送られてきたこともあいまって、他の不動産業者からの妨害が入る可能性が高いと考えたのでしょう。

また、地面師グループが、精巧な偽造書類を用意していたことも要因の一つです。

取引の最中で、積水ハウス側がなりすまし役の羽毛田容疑者を疑ったことがありました。

その際にパスポートの原本を再度確認し、ペンライトの照射を行ったところ、問題なく透かしが浮き上がってきたため、本人であると判断したようです。

3Dプリンターなどの最新技術を駆使して、より偽造の精度が上がってきていることも、詐欺を見抜けなかった要因の一つと言えるでしょう。

積水ハウス事件の逮捕者の名前一覧

2018年に入ってから、積水ハウス事件の捜査は本格的に開始されました。

現時点で把握できている逮捕者は以下の通りです。

事件を計画

内田マイク 容疑者

主犯格

土井淑男(よしお)容疑者

なりすまし役

羽毛田正美 容疑者

常世田義弘 容疑者

佐藤隆容 容疑者

調整係

永田浩資 容疑者

岡本吉弘 容疑者

仲介業者役

生田剛 容疑者

近藤久美 容疑者

小林護 容疑者

手配役

木下賢容 容疑者

秋葉紘子 容疑者

武井美幸 容疑者

口座の準備

北田文明 容疑者

三木勝博 容疑者

佐々木利勝 容疑者

<参考記事>

地面師グループ12人目逮捕 詐取金分散口座の準備役か – 産経ニュース

地面師事件、過去暗躍の「大物」が首謀か 5人に逮捕状:朝日新聞デジタル

積水ハウス55億被害地面師事件 主犯格の一人を逮捕 警視庁 – 産経ニュース

上記で逮捕された中でも、特に「内田マイク」容疑者は地面師の代表格と言われており、数々の地面師事件で暗躍していたといいます。

<追記>主犯格のカミンスカス操容疑者も逮捕、一時はフィリピンのアンヘレスに潜伏

積水ハウス事件の主犯格だったカミンスカス操容疑者は、海外逃亡を図ってフィリピンのアンヘレスに潜伏していました。

2019年1月11日時点で、フィリピン入国管理局によって国外退去処分を受け、日本人到着した段階で、「偽造有印私文書行使」等の疑いで逮捕されたのです。

2018年10月13日時点で、フィリピンに逃亡していたカミンスカス操容疑者は、およそ3か月ほどたったのち、無事逮捕されました。

<速報>カミンスカス操容疑者が再逮捕

カミンスカス操容疑者が、先ほど積水ハウス事件の容疑で再逮捕されたと報道がありました。

容疑を否認しているものの、積水ハウス事件の売買の取引にも立ち会っていたとして、疑惑は強まっています。

積水ハウス事件のその後~会長が退任し新しい人事に刷新~

前代未聞の詐欺事件に巻き込まれた積水ハウスは、その後の責任問題をめぐって大きく荒れました。

結論としては、前会長であった和田勇氏は退任し、前社長だった阿部俊則氏が会長に、前副社長であった稲垣士郎氏は副会長、前取締役であった仲井嘉浩氏が社長に就任という結果になったのです。

積水ハウスは公式のニュースリリースでの移動理由を、

世代交代を図り、激動する市場環境に対応できる新たなガバナンス体制を構築し、事業の継続的な成長を図ってまいります。

引用:代表取締役の移動に関するお知らせ

としていますが、積水ハウス事件は一切関係ないとするのは少し疑問符が残ります。

 

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地面師グループの詐欺手口とは?なりすましの演技指導から弁護士まで味方につける周到ぶり

大手ハウスメーカーである積水ハウスまでも騙してしまう地面師グループ。

彼らの功名な手口は、具体的にどのようなものなのか、具体例を挙げながら説明していきます。

今回は、以下のように手口を5つに分けました。

  1. ねらい目の不動産情報・所有者を見つけ出す
  2. 所有者のなりすまし役をスカウトして演技指導を行う
  3. 必要な書類を偽造する
  4. 送金先口座・印鑑を偽造する
  5. 不動産会社、司法書士、弁護士を味方につける
  6. ペーパーカンパニーで不動産仲介会社を装う

 

それぞれの手口について、説明をしていきます。

1、ねらい目の不動産情報・所有者を見つけ出す

地面師といえど、すべての不動産を売却や担保に入れることはしません。

あらかじめネットでめぼしい不動産を絞り込み、不動産の登記情報を確認します。

不動産の登記情報は法務局に行けば誰でも確認できますし、ネットからでも「登記情報提供サービス」(一般社団法人 民事法務協会)から登記情報を閲覧できます。

登記情報を見れば、誰が最初に登記をしたか、移転した場合は新しい所有者は誰かもわかりますし、抵当権がついているかなどを閲覧することも可能です。

登記簿情報でさらに条件を絞り込んだ後、現地に実際に出向いたうえで、ターゲットにする不動産を決めていきます。

特に狙われやすいのは、不動産の所有者が一人身の高齢者である場合。

身内がいない場合は、本人以外がなりすましに気づくことができず、それだけ地面師の被害に遭う確率が高くなってしまいます。

2、なりすまし役をスカウトして演技指導を行う

実際に所有者と接触した後は、なりすまし役の人間をスカウトします。

(必要に応じて所有者の関係者役をスカウトすることも)

本人写真は偽造するものの、年齢などの個人情報は変更できないので、見た目が相応の人物でないといけません。

配役を立てた後は、それぞれの役柄の基本情報を暗記させます。

特に不動産の売買契約時は、個人情報の記入を行う必要がありますから、よどみなく書類に記入ができないと、怪しまれてしまうので。

情報を暗記することに加え、それぞれの役柄に扮するための演技指導も行われます。

当然売却する先の相手には、個別具体的な質問をされますから、個人情報と話している内容に整合性がないといけません。

3、必要な書類を偽造する

不動産の売買では必要な書類が多く、すべての書類を偽造するか、原本を何かしらの方法で手に入れる必要があります。

具体的なねつ造する書類やモノ例は以下の通りです。

・印鑑証明書

・パスポート

・不動産の権利証

・マイナンバーカード

・住民基本台帳

良くも悪くも技術の発達により、偽造書類等の精度が上がっています。

そのため、不動産のプロが相手でも騙されてしまうことがあるわけです。

4、送金先口座の偽造

もう一つ重要なのが、口座の偽装です。

不動産売買に関連するお金は、基本的に口座に振り込みになるので、成りすましている所有者名義の銀行口座を用意しておく必要があります。

銀行の口座を作るためには、本人確認書類+印鑑が必要になるので、印鑑も3Dプリンター等を駆使して本物に似せてつくります。

5、司法書士、弁護士を味方につける

不動産の売買を行う際は、間に司法書士や弁護士を介さないといけないケースが多いです。

過去の地面師事件では、司法書士や元弁護士を地面師側に引き入れることで、買主側の信頼を勝ち取り、犯行の成功率を高めているケースもあります。

6、ペーパーカンパニーで不動産仲介会社を装う

地面師は、買主となりすました売り主の間に、自分たちで管理している不動産会社を使うことが多いです。

しかし、その実態はペーパーカンパニーといって、法人登記はしたものの活動していない名ばかりの会社がほとんど。

買い主も、実在する会社が仲介するのだから安心だと考え、犯行に気づきにくくなる側面があります。

地面師グループが良く行う詐欺のパターン5選

地面師が不動産を使った詐欺を行う際には、大きく5つのパターンがあります。

それが以下の5つ。

  1. 不動産を担保にいれて融資を引く
  2. 売却代金を持ちさる
  3. 売買契約後に手付金を持ち去る
  4. 二重売買
  5. 逆ザヤ

 

順番に解説していきましょう。

1、不動産を担保にいれて融資を引く

一番わかりやすいのは、「不動産を担保に入れて融資を引く」方法です。

不動産の所有者になりすまし、パスポートや印鑑などを偽造してお金を手に入れます。

2、売却代金を持ちさる

積水ハウス事件のように、実際に売買の手続から決済まで実施した上で、振り込まれた代金を持ち去る手法です。

得られる金額は大きいものの、なりすまし犯が買い主側に接触する回数も多いことや、多くの偽造書類や協力する仲間を必要とするので、リスクは高い犯行だといえます。

3、売買契約後に手付金を持ち去る

売却代金を受け取る一つ手前の段階で、手付金だけを持ち去るパターンです。

不動産の売買では、売買契約の時点で代金の1割から2割程度の手付金を買い主が売り主に支払うことが一般的。

引き渡しまでの時間が数週間から1ヵ月ほどあくので、地面師が逃走する時間稼ぎの期間が生まれてしまいます。

4、二重売買

売り主と買い主の間に地面師の不動産会社が立ち、

・売り主から地面師が土地or建物を買う

・地面師が土地or建物を別の買い主に売る

という流れで仲介をし、実際には買い主から購入代金が振り込まれた段階で持ち逃げするという手口です。

 

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アパホテル事件を含む過去の地面師事件のケース

ここからは、積水ハウス事件以外で過去に起こった地面師の事件を紹介していきます。

今回紹介する地面師の事件は以下の通り。

  1. アパホテル事件
  2. 世田谷事件
  3. 富谷事件
  4. 白骨死体事件
  5. 山形事件

 

それぞれ順番に解説していきます。

1、12億円の被害があった「アパホテル事件」

アパホテルも、積水ハウスと同様、土地の所有者になりすました地面師の被害に遭い、12億円の被害を受けました。

舞台になったのは、東京港区の赤坂見附から六本木に抜ける道の裏にある駐車場。

(↑2019年2月現在も駐車場として運営中)

(↑東京メトロ「溜池山王」駅のほど近く)

(↑駐車場からほど近い場所にも別のアパホテルが)

アパホテル側としては、すぐ近くにアパホテルがあるものの、ホテル建設にぴったりの立地と敷地であったため、購入を前向きに検討しました。

駐車場の所有者になりますし、書類を偽造し、アパホテル側は12億6千万円の売買代金を振り込みました。

今回の事件では司法書士も地面師側について加担したことで、より信頼性を高めることに成功しています。

2、司法書士がグルになった「世田谷事件」

世田谷事件は、もともとNTTの寮として使われていた建物をめぐって行われた詐欺事件です。

説明が複雑になりますが、大きく2つの取引が同時並行で進んでいました。

1つ目の取引は、NTT寮の保有者が、保有している別の山林と合わせて20億円で不動産会社「プリエ」に売却する取引。

もう1つが、NTT寮を欲しがっている買主に対して、NTT寮を購入した後5億円で転売すると約束した「東亜エージェンシー」との取引です。

しかし、上記の「プリエ」「東亜エージェンシー」はともにペーパーカンパニーであり、名前だけで実態のない会社でした。

結論として、買い主から支払われた「5億円」を地面師達が騙し取ったのです。

3、元弁護士が地面師側に加担した「富谷事件」

富谷事件は、井の頭通に面している好立地の空地で起こりました。

所有者は台湾の華僑の男性で、本人の代理人を仕立てることで取引は進められます。

この事件の特徴は、元弁護士が犯行に加担している点。

手続きは実在する弁護士事務所、弁護士で行われるなど、より信頼性が高い状態であったがゆえに犯行を見抜けなかった側面があります。

結果として6億5000万円の資金を支払ってしまった買主は、法務局で移転登記ができないと断られたタイミングで騙されたことに気づきました。

4、地面師がNTT都市開発に売却した「白骨死体事件」

2016年10月に、新橋の資産家の女性が白骨の状態で見つかりました。

女性は資産価値16億円を超えるであろう土地を保有していましたが、いつのまにか土地を転売されていたため、地面師による被害ではないかと噂されています。

女性は生きている間に、不動産業者に土地を売るよう提案されていましたが、まったく取り合いませんでした。

女性が保有していた土地一帯を更地にして再開発に充てれば、土地の購入価格の何倍ものリターンが返ってくるといわれており、そこに地面師が目をつけたわけです。

5、80代の男性から3億円以上を騙し取った「山形事件」

2019年2月10日にYahooニュースで報じられた最新の地面師事件です。

飲食店経営者である高橋昌彦容疑者が、80代の男性に偽の不動産売却話をもちかけて、2500万円を騙し取った疑いがかけられています。

これまで、不動産の本来の所有者が高齢者であるケースは多かったですが、今回は購入者が高齢者という珍しい事例でした。

購入者である80代の男性を信頼させるため、地面師達は売却後も賃料を払っていたとのこと。

おそらく土地を購入した後も、管理を地面師グループに任せて、賃料のみ受け取っていたと考えられます。

地面師の歴史・ルーツ~最初に地面師が登場したのは第二次世界大戦後の焼け野原だった時代~

オリンピック景気で不動産価格が高止まりしている今、地面師の活動は活発になっています。

これまでの歴史の中でも、地面師の活動が活発になっていた時代が二度ありました。

1度目は1度目が第二次世界大戦後の混乱期、2度目が不動産価格が高騰していたバブル期です。

それぞれの時代背景を確認してみましょう。

1、第二次世界大戦後の混乱期

地面師は、第二次世界大戦後の焼け野原になった時代に生まれたといわれています。

アメリカの空爆を受けて、多くの建物は破壊され、亡くなった人も大勢いました。

行政機関も当然被害をうけており、土地の所有者情報を記録していたデータも消失しています。

誰がどの土地を保有しているのかわからない混乱状態に乗じて、地面師は土地の所有者を装いました。

法務局に対して、偽造した本人書類を持ち寄ることで、土地を自分のものにしていたわけですね。

土地の所有者は言ったもの勝ちという状況の中で、莫大な資産を稼いだ地面師もいたといいます。

2、土地の値段が急上昇していたバブル期

しばらくなりをひそめていた地面師が再び活発に活動を始めたのが、不動産が高騰していた1990年頃のバブル期です。

放っておいても不動産価格が上がっていく時代ですから、猫も杓子も不動産を買おうとします。

ある意味日本全体が浮かれていた時代だからこそ、詐欺集団である地面師にとってはかきいれ時だったわけです。

地面師事件の過去の判例

逮捕された地面師は、後に起訴されるケースもあります。

最終的に、地面師はどういった判決を受けるのでしょうか?

ここでは、過去の地面師事件に関する2つの判例を紹介しておきましょう。

1、なりすまし犯による不動産売買の所有権移転登記&抹消請求が認められた事例

父親から土地を相続したAさんでしたが、実際に相続をするより前に、何者かによって土地の所有権を移転されていました。

父親が生前に土地を売買した事実はないため、Aさんは所有権移転登記と、抵当権の抹消を請求しました。

結果的にAさんの要求は認められ、所有権の移転登記を抹消出来たのです。

2、誤った個人情報を提供した弁護士への賠償請求が一部容認された事例

地面師詐欺の被害に遭った買い主に対して、偽の売り主の情報を提供したとして、弁護士の不法行為が認められました。

この弁護士は、なりすまし犯から、不動産の登記識別情報を紛失したからといって、本人確認情報の作成を頼まれます。

なりすまし犯が提供した偽の住民基本台帳カードを基に、弁護士は情報が正しいと判断して書類を作成しました。

いくつか怪しい点もあったことから、弁護士は詐欺を疑うべきだったと判決が下り、2億4309万円の内の4割を過失相殺した上で支払いを求めました。

参考:不動産売買において、偽造された資料等を基に売主に係る誤った本人確認情報を提供した売主側弁護士に不法行為責任が認められた事例

地面師と事件師・地上げ屋の違いや関係性について

地面師と似た言葉に、事件師、地上げ屋といった言葉があります。

実際、地面師とも無関係ではなく、犯行の流れで接点を持つケースもある事件師や、地上げ屋。

それぞれについて、説明をしておきましょう。

事件屋

事件やとは専門的な知識や資格を持っていないにも関わらず、何かしらのトラブルに乗じてお金を騙し取ろうとする人間のことです。

本来、トラブルの際には弁護士や司法書士など有資格者しか対応できない範囲があります。

事件屋は無資格にも関わらず、サポートや相談に乗るといって困っている人に近づき、何かと理由をつけてお金を搾取しようとする人たちです。

地上げ屋

地上げ屋の「地上げ」とは、本来悪い意味でつかわれるものではなく、効率的に土地を活用するために、土地を購入することを指します。

地上げ屋の具体的な活動としては、

・土地や建物を直接買い取る

・土地や建物に関する権利の整理

・立ち退き交渉をする

などがあります。

とも地上げ屋の印象が悪い理由は、土地活用のために区画内に該当する居住者に半ば強制的な立ち退きを命じるケースも多かったからです。

一部暴力団が介入していたこともあり、地上げ屋=悪という考え方が一般的に浸透しています。

地面師に関する本なら「地面師~他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団~(森功著)」がおすすめ

今回の記事でも一部参考にさせてもらった本が、ノンフィクション作家の森功氏が書いた「地面師~他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」。

2018年12月に第一刷が販売されたので、最新の地面師事件についても言及しており、地面師について詳しく知りたいなら必読の一冊になっています。

筆者の森氏は、岡山大学文学部を出たのち、伊勢新聞社、テーミス社、週刊新潮の編集部を経たのち、フリーランスの作家になった方です。

これまで数々の賞を取られた経験もある森さんの本なので、ただ地面師について知るというよりも、まるでドラマを書籍化したような語り口につい引き込まれてしまいます。

地面師について詳しく知りたい人は、必読の一冊といって差し支えないでしょう。

「ガイアの夜明け」で地面師特集がテレビ東京で放送されました(2019年2月19日)

2019年2月19日に、日経スペシャル「ガイアの夜明け」で、地面師の特集が組まれています。

概要欄の文章を一部抜粋すると、

土地や住まいなどの不動産を巡って、不当に儲けを狙う”地面師”や”ブラック家主”といった集団が動きを活発化させている。あなたや親の土地や住まいも狙われているかもしれない・・・。その驚きの手口や実態について緊急取材する。

引用 :2019年2月19日放送 あなたの土地・住まいも狙われる…〜「地面師」「ブラック家主」 驚きの手口〜|日経スペシャル ガイアの夜明け : テレビ東京

とあります。

さきほど紹介した書籍の著書「森功」さんや、不動産コンサルタントとして数々のメディアに出演している「長嶋修」さんも出演され、かなり踏み込んだ内容になっています。

不動産業者だけでなく個人の土地や建物も狙われている

地面師事件の主犯格だった小山操ことカミンスカス操容疑者。

彼も出入りしていたという地面師のアジトには、偽造用の大量の印鑑が見つかりました。

引用: 個人にも魔の手…大物地面師が狙った”もう1つの標的”:ガイアの夜明け|テレ東プラス

そんな地面達が狙っているのは決して積水ハウスやアパホテルなどの法人だけでなく、個人の地主も対象であると伝えられています。

実際に1200坪の土地と建物を地面師に奪われた沢田さん(仮名)も、ガイアの夜明けに出演していました。

沢田さんは父名義のアパート経営が苦しくなってしまったため、金融機関から借り入れをするものの借金が膨らみ、担保にいれていた自宅の土地をとりあげられてしまいました。

悩んでいた矢先、弁護士事務所に呼び出された沢田さんは、父とともに出向きます。

そこには不動産会社の社長と顧問の男性の2人。

その2人から、保有していた土地の一部を使って、老人ホームを立てないかと提案されます。

老人ホームの収益の一部は沢田さんにも配当されるうえに、将来的には土地も取り返せるというのです。

ただ、建設までの流れをスムーズにするための条件として、一度土地の所有権を渡してほしいといわれた沢田さん。

建設予定の老人ホームの図面まで見せられた上に、本物の弁護士まで同席していたため、信用をして所有権を渡してしまいました。

しかし、所有権を渡してからというものの、建設するといっていた老人ホームはいつまでたっても建設されなかったのです。

沢田さんに接触を図ってきたカミンスカス操容疑者

1年半を過ぎたころ、悩んでいた沢田さんに接触してきたのが、積水ハウスの主犯格「カミンスカス操」容疑者です。

カミンスカス容疑者は、自分なら任せてくれたら解決できるともちかけます。

しかし、カミンスカス容疑者は不動産会社とグルであったことがのちにわかり、結局老人ホームは建てられませんでした。

その上に実家と土地をハウスメーカーに売却し、8億6千万円もの利益を得ています。

ガイアの夜明けクルーが地面師に直撃!

ガイアの夜明けのスタッフは、沢田さんをだました地面師グループに取材を敢行します。

最初に沢田さんの土地を売買したオフィスは、すでに引き払われた後。

取材を進めるうちに、取引に立ち会っていた顧問を見つけることができたガイアの夜明けクルー。

しかし顧問は、「悪いのは不動産会社の社長で自分は被害者だ」と言いはります。

ただ、カミンスカス容疑者を沢田さんに紹介したのはこの顧問であり、はなはだ怪しいと言わざるを得ません。

交渉の現場にいた弁護士にも突撃取材をしたところ、カミンスカス容疑者と接触したことがあるとのこと。

カミンスカス容疑者の話をすると話をそらそうとする弁護士、やはり全員がグルであったと考えるのが自然ではないでしょうか。

元地面師の男性が語った狙われやすい土地・所有者

地面師の特集の最後に、元地面師の男性が取材に応じていました。

彼によると、

・全く動いていない土地はすぐに登記簿をとりよせる

・個人で身寄りがいない地権者の土地は危ない

と説明しています。

少子高齢化で単身者の老人が増えている今、さらに地面師被害に遭う可能性は高まっていくでしょう。

あなた自身が警戒するだけでなく、両親や祖父母など身近に高齢の家族がいる人にも、ぜひ地面師の実態や手口を話してあげてくださいね。

地面師特集を見たTwitterの人たちの反応

ガイアの夜明け放送後のTwitterの人々の反応を紹介しておきます。

同じテレビ番組を見ても、考えることや感じることは、立場によって様々ですね。

ガイアの夜明けの地面師特集を見逃した人は、ビジネスオンデマンドから見直しできます

もし、ガイアの夜明けの地面師特集を見逃してしまった人は、テレビ東京の人気番組を月額500円で閲覧できる「ビジネスオンデマンド」に登録すれば、再度放送を見ることができますよ。

ビジネスオンデマンド公式HP

月額500円の低価格ですし、初期は無料期間もあります。

ガイアの夜明け以外にも、カンブリア宮殿や未来世紀ジパングなどの人気番組も閲覧できるので、興味のある人はぜひためしてみてください。

地面師に関するQ&A

最後に、地面師に関する細かい質問に答えておきましょう。

1、地面師と暴力団の関係性は?

地面師と暴力団の関係性は、犯行グループの一員として加わる場合、間接的になりすましを手配する場合、犯行の資金源を供給する場合等があるといわれています。

2、地面師に狙われやすい人や不動産・所有者の特徴は?

先ほどもカンタンに説明しましたが、地面師が起こす事件に共通しているポイントとして、

  • ・好立地にある土地や建物であること
  • ・所有者が高齢で独り身であること
  • ・所有者が入院したり海外にいて離れて暮らしていること

 

などが挙げられます。

高齢の両親が好立地に不動産を所有していて入院をしているケースなどは、生前贈与や家族信託成年後見人制度を利用した売却を検討するのも一つの対策になるでしょう。

3、地面師の被害を防ぐ方法・対処法は?

地面師の手口にもよりますが、「本人確認書類と所有者本人の顔が一致しているかを周囲の人に確認すること」は必ず実施しましょう。

なりすまし役を見立てても、所有者本人とまったく同じ顔であることはありません。

パスポートの透かしを見るなどの方法もありますが、精巧なパスポートであれば、透かしまで模倣されているケースもあります。

本人確認書類の写真を、近隣の人たちに確認することで、事前に見抜くことが出来たケースもあります。

また、地面師の取引の傾向として、

・所有者にできるだけ会わせようとしない

・自宅への訪問を断る

・売買契約を急がせる

・相場の売買代金よりも大幅に安い

・話の辻褄が合わない

・記入した情報を間違える

などの点が見受けられる場合は、地面師を疑って慎重に取引を進めましょう。

4、地面師事件でよく使われる「善意の第三者」とは?

「善意の第三者」とは、「特定の事象について把握していない人」のことを指します。

(「善意」と聞くといい印象を持ちますが、そういったニュアンスは「善意の第三者」には含まれません)

冒頭の積水ハウス事件でいえば、積水ハウスは詐欺であることを把握していなかったため「善意の第三者」となります。

不動産の詐欺の場合、所有権は本来の持ち主であった海老澤さんに戻るケースが一般的です。(裁判の結果、最終的な所有者が決まります)

動産であれば、たとえ騙された場合であっても、所有権は現時点での実際に所有している人に引き継がれます。(即時取得)

まとめ

今回の記事では、積水ハウス事件を中心に地面師について詳しく解説してきました。

地面師の事件は誰にとっても他人事ではなく、購入する側としても、不動産を勝手に売却される意味でも被害に遭う可能性があります。

今回を機に地面師の実態について知り、地面師の手口のパターンや傾向を知っておいてください。

あなた自身が気を付けるだけでなく、離れて暮らしている高齢の両親がいる人は、十分気をつけておくことが大切です。

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