マンション売却の知識

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不動産取得税のギモンをプロが解説!計算方法や支払う時期、還付の方法まとめ

 

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1度だけ納めなければならない地方税のことです。

消費税のように都度支払うわけではないので、「新居を購入して一息ついた頃」に、突然支払いを求められてびっくりする人もいるかもしれません。

そこで、今回は不動産取得税について

  • ・課税対象となるケース
  • ・課税額の決まり方
  • ・不動産取得税が軽減される特例

以上3つを軸に、詳しく解説していきます。

不動産取得税が課される11のケース

不動産取得税は、不動産を「移転させた」ことについて発生する「流通税」です。

不動産の移転がある具体的なケースは大きく5つ。

  • ①売買
  • ②贈与
  • ③建物の新築
  • ④建物の増改築
  • ⑤不動産の交換

が該当します。

以上のように不動産の移転・新造があった場合には不動取得税が発生します。

なお、相続の場合には不動産取得税は発生しません。

ただし、

  • ⑥死因贈与の場合
  • ⑦法定相続人以外の人への特定遺贈の場合
  • ⑧相続時精算課税を利用した場合

には、不動産取得税が発生します。

ちなみに法定相続人への「特定遺贈」では不動産取得税はかかりません。

また、離婚時の財産分与による不動産取得の場合にも、不動産取得税はかからないのが原則です。

財産分与は、夫婦の共有財産を分割することなので、「新規の取得」とはいえないからです。

しかし、財産分与に次のような事情があるときは課税対象となります。

  • ⑨財産分与が贈与税や相続税を免れるためであると判断された場合
  • ⑩財産分与が慰謝料・扶養料としての性格を有する場合
  • ⑪分与された財産が諸事情を加味しても過剰である場合

これらは財産の分与というよりは、贈与(新規取得)の性格を帯びることから、不動産取得税が発生するので注意が必要です。

不動産取得税の算出方法

不動産取得税の額は、

  • 「不動産を取得したときの評価額 ✕ 税率 - 建物や土地ごとの控除額」

という計算式で算出されます。

不動産取得税の地方税法上の税率は4%です。

なお、地方税法で示されているこの税率は、「標準税率」なので、「これを超えてはいけない税率」ということに過ぎません。

実際にも納税の基準や手続きの細かなことは、都道府県ごとの条例で定められていますので、必ずそれぞれの地域の都道府県税事務所で確認すべきでしょう。

土地、建物(居住用)の税率

土地と自己居住用の建物を取得した場合には、特例によって、税率が3%に軽減されています。

たった1%と思うかもしれませんが、1,000万円の1%でも10万円ですから、金額にするとかなりの違いです。

ただしこの特例は、2021年3月までの期間限定の特例となっています。

また、事業用などの居住目的以外の建物や、居住用であっても投資用マンションのように自分で住まない不動産を購入した場合には、特例は適用されずに税率は4%となります。

不動産の取得時の評価額はどうやって決まる?

不動産を取得したときの評価額は、「固定資産税評価額」となります。

「実際に取得した金額」を基に計算するわけではありません。

固定資産税評価額は、国土交通省が毎年定めている公示価格(地価とよばれる価格)の70%になるように調整されており、3年に1度評価替えが行われます。

直近では、平成30年に評価替えが行われました。

新たに取得した不動産の固定資産税評価額を確認するには、

  • ・市町村に備え付けられている「固定資産税台帳」を閲覧する
  • ・固定資産税評価証明書を取得する

といった方法があります。

関連記事→固定資産税評価額の計算方法や調べ方をプロが分かりやすく解説!

居住用の建物の評価額の控除の特例

取得した建物が居住用であり、下記の要件を満たした場合には、不動産取得税の課税標準について、一定額を控除することができます。

  • ・家屋の広さが50~240㎡であること(マンションの場合は専有部分に加え、共用部分に持分を乗じた分が加算される)
  • ・中古住宅の場合、以下いずれかの基準を満たしていること
     ①築20年以内(マンションは25年以内)である
     ②昭和57年以降に建築されたものである
     ③新耐震基準に適合しているものである

この場合の控除額は築年数(建物が建てられた日)によって変わります。

  • ・平成9年4月1日以降:1,200万円
  • ・平成1年4月1日から平成9年3月31日:1,000万円
  • ・昭和60年7月1日から平成1年3月31日:450万円
  • ・昭和56年7月1日から平成60年6月30日:420万円
  • ・昭和51年1月1日から昭和56年6月30日:350万円

なお、建物が「認定長期優良住宅」であるときには、1,200万円の控除に代えて、1,300万円の控除が適用されます(2021年3月末日まで)。

土地の評価額についての控除の特例

2021年3月31日までに「宅地」および「宅地比準土地(市街化区域農地や雑種地等)」を取得した場合には、課税標準が1/2に控除されます。

※「宅地(宅地批准土地)」というのは、「地目」とよばれる土地の分類基準です。地目は、それぞれの土地の登記簿謄本に記載されています。

さらに、居住用の建物を建築するために土地を取得した場合には、次の条件を満たすことで、追加の控除をうけることができます。

  • ・住宅と土地を一緒に取得し新築の建物を建てた場合
  • ・取得した土地に新築の建物を3年以内に建てた場合
  • ・建物取得後1年以内に土地を取得した場合(借地に家を建ててから土地を買った場合)
  • ・土地を取得してから1年以内に中古住宅を取得した場合
  • ・中古住宅を取得してから1年以内に土地を取得した場合

これらの控除額としては、以下2つのうちの大きい金額が適用されます。

  • ・45,000円
  • ・(土地1m²当たりの固定資産税評価額×1/2)×住宅の床面積×2×3%

不動産取得税の金額を実際にシミュレーション

不動産取得税の計算はかなり複雑なので、慣れていない人にとってはとてもわかりづらいものです。

そこで、具体例を用いて、実際の不動産取得税の金額をシミュレートしてみましょう。

【2019年に自分で住むために中古マンションを購入】

<取得した物件情報>

 ・平成21年建築

 ・課税床面積70平米・共有持分土地面積50平米

 ・土地の固定資産税評価額3,000万円

 ・建物の固定資産税評価額1,000万円

 

実は、このケースでは、不動産取得税は「0円」となります。

建物については、固定資産税評価額が1,000万円なので、「1,200万円の控除」をうけると、課税基準額が0円となってしまいます。

土地についても、「土地1m²当たりの固定資産税評価額×1/2)×住宅の床面積×2×3%」の計算式に基づけば、

(3,000万円/50平米(共有持分)✕1/2)✕(70平米✕2)✕3%

=126万円が控除額となります。

したがって、土地の不動産取得税額は、3,000万円✕1/2✕3%=5万円

となり、5万円(納税額)<126万円(控除額)ですから、税額は0円となるわけです。

不動産取得税は、「控除の特例を受けられるかどうか」で大きく変わるということです。

不動産取得税を軽減できる特例の申請方法

不動産取得税を軽減できる特例は、「条件を満たした不動産を購入しただけ」で当然に適用されるわけではありません。

特例の適用には、「都道府県税事務所への申請」が必要となるのが原則です。

この申請は、「不動産を取得した日から一定期間以内」に行われる必要があります。

※申告期限は、都道府県条例で定められており一律ではありません。一般的には30~60日のところが多いようですが、必ず個別に確認してください。

自治体によっては、登記記録などから予め特例分を差し引いて納税通知書を作成してくれることもありますが、必ず自分でチェックする必要があります。

万が一、特定の適用がないまたは思っていたよりも税金が高いときには、必ず都道府県税事務所に相談しましょう。

期限を過ぎたら絶対に受け付けられないというものではないですよ。

不動産取得税が課されない7つのケース

不動産取得税が発生しない場合としては、非課税枠と免税枠とで合わせて7つのケースがあります。

不動産取得税が非課税となる場合

不動産取得税が「非課税」となるのは、次の4つの場合です。

  • 相続によって不動産を取得した場合
  • ➁公共的な目的に供される不動産の取得
  • ➂法人の合併や分割
  • ➃2年以内の債権消滅による譲渡担保財産の設定者への移転

このうち実際に適用されるケースのほとんどは相続の場合でしょう。

相続は、不動産の新規取得というよりも、「被相続人の死亡による不動産の形式的(強制的)移転」といえるために、非課税となります。

他方で、生前贈与や死因贈与などのケースは、「取得者の意思による不動産の新規取得」といえるため、非課税とはならず不動産取得税が発生します。

同様に、区画整理などの事情によって引っ越しを余儀なくされたような場合にも「取得者の意思で不動産を取得した場合」ではありませんので、非課税となります。

墓地や保安林など公共的な用途のための不動産の取得、法人の合併などの場合も、基本的な考え方は同様です。

つまり「取得者の意思で積極的に不動産を取得したとはいえない」場合には、非課税であると覚えておけばよいということです。

不動産取得税が免税となる場合

不動産取得税の免税点とは、「課税するまでもないケースの基準」と覚えておけばよいでしょう。

具体的には、次の3つの場合が免税となります。

  • ⑤取得した土地の価格が10万円未満の場合
  • 売買や贈与等により取得した家屋の価格が12万円未満の場合
  • 建築した家屋の価格が23万円未満の場合

「非課税」になるのか「免税」になるのか、しっかりと確認しておきましょう。

不動産取得税はいつのタイミングで支払いが発生する?

不動産取得税は、不動産を取得してから一定期間内に提出しなければならない「不動産取得申告(報告)書」に基づいて、徴収されます。

申告書の提出期限は、自治体によって異なります。

また、提出期限を守らないときには、軽減措置・控除の特例などを受けられない場合があります。

不動産取得税の納付は、申告後、自治体内での手続きを経て「納税通知書」が送付されてからになります。

納税通知書が届く時期も、自治体によってまちまちです。

一般的には、不動産取得後半年~1年(強)くらいの時期に送付されると言われています。

不動産取得直後ではありませんので、不動産取得税を支払わなければならないケースでは、手元にお金を残しておくと良いでしょう。

不動産取得税を支払う方法

不動産取得税は、納税通知書に記載されている方法にしたがって納付します。

一般的には、都道府県税事務所窓口のほか、指定の金融機関、コンビニエンスストアでの納付が可能です。

【ケース別Q&A】不動産取得税に関するギモンを解決

不動産取得税について、よくありそうな疑問をまとめてみました。

ぜひ参考にしてみてください。

Q1.購入した建物をすぐに取り壊す場合でも不動産取得税は支払う必要がある?

不動産取得税は、「不動産を新規に取得した」という行為に対して発生する税金です。

したがって、「取得した不動産をどれくらい保有したか」ということは考慮に入らないのが基本的な考え方といえます。

ただし、最初から取り壊すと決めて建物を購入し、取得後使用することなくすぐに取り壊した場合には、課税対象とはなりません。

この場合には、不動産を取得したというよりも「取り壊すことで動産となるもの」を購入したと考えることができるからです。

設問のケースでは、都道府県税事務所に申請をすることで、不動産取得税の課税を免れることができます。

なお、申請に必要な書類は下記の通り。

  • ・不動産売買契約書
  • ・最終代金領収書
  • ・取り壊した後の土地の利用状況が確認できる書類
  • ・建築確認済証、工程表等
  • ・下記の書類のいずれか(取り壊した物件、取り壊した年月日、取り壊した事実が確認できる書類)
     ①建物の滅失の登記事項証明書(閉鎖事項証明書)
     ②登記申請書及び登記完了証
     ③電子登記申請の登記完了証
     ④解体証明書及び解体業者の印鑑証明書(原本)

※必要書類は都道府県によって異なる場合もあるので、必ずそれぞれの地域の都道府県税事務所に確認してください。

Q2.税率軽減の特例を受けたいけどまだ建物が完成していない場合はどうすればいい?

土地だけを先行して取得した場合には、下記の条件を満たしたときに、不動産取得税の軽減を受けることができます。

  • ・土地の取得から3年以内に居住用の建物を新築した場合
  • ・土地の取得から1年以内に居住用の中古住宅を取得した場合

なお、建物を取得した日付は、登記の日付が基準となります。

中古物件であれば「購入した日」となりますが、新築の場合には、「登記上の建築日」が基準となります。

建物表題登記では、「建築基準法上の手続きを経た日」を新築日付とするのが一般的なので、「代金を支払った日」、「建築工事を依頼した日」ではないので注意しましょう。

Q3.不動産取得税の納税通知書が送られてこない場合はどうすればいい?

何かしらの理由で納税通知書が届かないときには、最寄りの都道府県税事務所に問い合わせて、納付書の送付を請求することができます。

まとめ

不動産取得税はとても複雑なもの。

「よくわからない」という人がほとんどではないかと思います。

また、すべての不動産取得のケースで発生する税金でもないため、「そんな税金があるとは知らなかった」という人も多いでしょう。

さらに、新居を購入した直後は、さまざまなことに追われがちなので、必要な手続きも失念してしまう可能性があります。

申請が遅れたことで、軽減の特例が適用されなくなれば、大きな不利益を被ってしまうことも。

不動産を購入する際には、不動産業者などの専門家に納税の可能性があるかどうかを確認し、自治体のホームページなどで、手続きの詳細・期限についても必ず確認するようにしましょう。

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