マンション売却の知識

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権利証(登記済証)紛失時でも不動産を売却する3つの方法をプロが分かりやすく解説!

 

売りたい人

マンションを売却しようとしているけれど、権利証が見つからない・・・。

紛失してしまった場合は、どのように対処すればいいのだろう?

そういった方に向けて、記事を書いていきます。

結論、権利証を紛失したとしても、不動産売却は問題なく実施できるので心配はいりません。

今回の記事では、

  • ・権利証がなくても不動産を売却する方法
  • ・権利証がないときに相続登記をする方法

などについて、不動産のプロである筆者が解説していきます。

ぜひ参考にしてみてください。

権利証(登記済証)とは?

そもそも権利証とは、不動産の所有権を取得し登記手続きが終了した際に発行される書類のことを言います。

日本の民法は、「対抗要件主義」という考え方を採用しているので、自分の不動産の所有権を他人(取引の相手方以外の第三者)に主張するためには、「所有権登記」を備えなければならないことになっています(民法177条)。

その意味で、「登記が終わったこと」を示す書類を持っていることは、まさに「私にはこの不動産を所有する権利がある」ことを証明するものということで、「権利証」と呼ばれるわけです。

権利証(登記済証)には2つの種類がある

2019年7月時点では、「権利証」に該当するものは次の2つです。

  • ・登記済証
  • ・登記識別情報

このうち「登記済証(権利証)」は、不動産登記手続きが終了したときに法務局から発行される書面のことで、登記済という押印があります。

しかし現在、この登記済証は発行されておらず、「登記識別情報」という12桁のアラビア数字と符合の組み合わせで構成されるパスワードが書類で発行される形に変わっています。

これが従来の登記済証と同じ役割を果たしているのです。

ちなみに今でも登記識別情報のことを便宜上”権利証”と呼んでいる人もいます。

不動産のプロ

なお、登記済証から登記識別情報への切り替え時期は、法務局によって異なります。

なぜなら登記識別情報は「登記手続きのオンライン化」に合わせて導入された制度だから。

全国にあるすべての法務局が一斉にオンライン登記に対応したわけではないので、登記識別情報の導入(登記済証の廃止)の時期も異なるのです。

最も早い法務局では、平成17年3月7日に登記のオンライン化が始まりましたが、最も遅い法務局は、平成20年7月14日までは登記済証が交付されていました。

登記済証を登記識別情報にしてもらうことはできない

ちなみに、すでにある登記済証を登記識別情報に変えてもらうことはできません。

登記識別情報は、あくまでも「登記されたこと」を明らかにするためのもので、「登記も何もないとき」に発行することはできないからです。

また、登記識別情報を登記済証にしてもらうこともできません(登記済証はすでに廃止された仕組みだからです)。

権利証(登記済証)を紛失しても、再発行してもらうことはできません

権利証(登記済証・登記識別情報)を紛失してしまった場合でも、再発行してもらうことはできません。

権利証は、正確には権利を示す書類ではなく「登記手続きが完了した証拠」なので、登記の手続きごとにしか発行することができないからです。

したがって、相続や売買などによって次の所有権登記が行われるまでは、権利証(登記識別情報)が発行されることはありません。

ただ、権利証が無くとも不動産の売却等を行うことはできるので、安心してください。

具体的な方法については、次の見出しで解説をしていきます。

権利証(登記済証)なしに不動産を売却する3つの方法

不動産の売却に伴う所有権移転登記手続きには、

  1. 「権利証(登記済証・登記識別情報)」
  2. 「実印」
  3. 「所有者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)」

が必要です。

そのため、「権利証を失くしてしまったら不動産を売れなくなる!」と不安に感じる人がいるかもしれません。

しかし権利証がない時でも、次の3つの方法によって不動産を売却することができます。

  1. 司法書士などによる本人確認
  2. 法務局による事前通知
  3. 公証人による認証

詳しく解説していきましょう。

➀司法書士や弁護士による本人確認情報の提供

権利証紛失 弁護士 司法書士

権利証がないときの不動産売買は、「司法書士」に本人確認証明情報を作成してもらって対応するのが最も一般的です。

登記の手続きに際して権利証が必要なのは、登記手続きの申請者が「本当に所有者本人であること」を確認するためです。

この本人確認を、登記手続きの代理人である司法書士(弁護士)に行ってもらうことで、権利証の提出を省略できることになるのです。

本人確認証明情報を作成してもらうために必要なもの

本人確認証明情報を作成してもらうためには、下記の本人確認証明書類を持参・提示した上で、司法書士(弁護士)と直接面談する必要があります。

1点の提示で認められる本人確認証明書類 運転免許証、外国人登録証明書、顔写真付きの住民基本台帳カード、パスポートといった、第三者では入手不可能な顔写真付きの公的身分証明書
2点以上の提示が必要な本人確認証明書類 健康保険の被保険者証、共済組合の組合員証、国民年金手帳、身体障がい者手帳、精神障がい者福祉手帳、療育手帳などの第三者が入手できない公的身分証明書
登記手続きをする不動産との関係を証明する書類 ・物件相続時の遺産分割協議書

・相続税申告書

・物件購入時の売買契約書

・公共料金の領収書(直近2・3ヶ月)

・固定資産税納税通知書  など。

 

本人確認証明情報を作成してもらう費用

司法書士(弁護士)に本人確認証明情報を作成してもらうときには、登記手続きにかかる費用(報酬)とは別途に、本人確認証明情報を作成するための手数料がかかるのが一般的です。

この場合の手数料額は、5~10万円程度です。

余計な費用負担をしないためにも、権利証はしっかり管理しておきましょう。

➁登記所による事前通知

権利証紛失 登記所

司法書士に本人確認証明情報の作成を依頼しなくても、登記の手続きをすることは可能です。

登記済証・登記識別情報が提供されずに登記申請されたときには、法務局が本人確認を行うからです。

法務局による本人確認とは、登記手続きを行う前に、不動産の所有者充てに「登記情報を変更する意思があるかどうか」を照会する書面を送ることで行われます(実務では「事前通知」と呼んでいます)。

所有者(登記手続きの申請者)は、この通知を受け取ってから2週間以内(国外に住んでいる場合には4週間以内)に「登記変更に同意する」旨の書類を返送すれば、本人確認が行われたものとして登記の手続きが進められます。

「前住所通知」によるなりすましの防止ができる

法務局による事前通知が行われるときには、申請者の住所だけでなく、申請者の前の住所にも通知が送られる場合があります。

たとえば、権利証を亡くしたAさんが、登記申請前に、大阪府大阪市から兵庫県神戸市に引っ越しをしていたような場合には、現住所の神戸市だけでなく、前の住所地である大阪市にも本人確認のための通知を送付するのです。

この前住所通知をすることで、他人が申請者になりすまして「違う住所から手続きを行い本人に通知がいかないようにする」ことを予防することが可能となります。

➂公証人による登記義務者であることの認証の提供

権利証紛失 公証役場

登記手続きを進めるための本人確認は、公証人に「本人であることの認証」をしてもらうことでも可能です。

認証にかかる費用は、3,500円。

司法書士に本人確認を依頼するよりも安いといえます。

ただし、公証人による認証の場合には注意しなければならないことがあります。

  1. 申請者本人が公証人と直接面談しなければならないこと
  2. 前住所通知を省略することができないこと

以上2つに気をつけましょう。

 

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紛失した不動産の権利証(登記済証)が他人に悪用される可能性が低い理由

テレビドラマやマンガ・映画などでは、「権利証を奪われて悪用される」というシーンが描かれることがあります。

そのため、権利証を紛失してしまったとき、「権利証が他人の手に渡れば、自分の不動産を勝手に処分されてしまうかもしれない!」と不安に感じてしまう人がいるかもしれませんね。

しかし実際には「権利証がなくなった(他人の手に渡った)」というだけで、不動産を処分されてしまうようなことはありません。

所有権移転登記手続きを行うためには、以下の3つが必要だからです。

  • ・権利証(登記済証・登記識別情報)
  • ・実印
  • ・所有者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

権利証は、あくまでも登記の結果に基づいて「他人に権利を主張する」ための書類であって、所有権そのものを証明する唯一、絶対的な証拠というわけではないのです。

万が一、他人に権利証を奪われて不動産を処分されてしまった場合でも、他の手段で「所有権が自分にある」ことを証明できれば、不当な不動産売買を取り消す(所有権移転登記手続きを抹消する)ことは可能です。

万が一登記名義が勝手に変更されることを防ぐ2つの対策

「権利証がなくなった(見つからない)」という場合でも慌てる必要はありません。

しかし、「大事な不動産が他人に奪われたら困る。」という不安は残さず消し去りたいですよね。

そのようなときには、次の2つの方法を実行することで、権利証紛失の不利益を予防できます。

  1. 不正登記防止の申出
  2. 登記識別情報の失効申出

それでは、ひとつずつ説明していきましょう。

➀不正登記防止の申出

「不正登記防止の申出」は、万が一の事態が起きたときに、すぐにわかるようにするための措置です。

法務局に不正登記防止の申し出をすると、申出から3ヶ月以内に対象不動産について登記手続きの申請があると、申出人に通知されます。

しかし、不正登記防止の申出は、申出から3ヶ月しか効力がありません。

引き続き監視をしたいというときには、再度申出が必要となります。

また、「不正な手続きを未然に防げる」という仕組みでもないため、「不安を解消する」という意味では、効果が低いともいえます。

ただし、登記済証を紛失した場合の対処方としては、この方法しかありません。

➁登記識別情報の失効申出

登記識別情報を紛失してしまったというときには、法務局に「登記識別情報の失効」を申し出ることができます。

登記識別情報の失効を申し出れば、登記識別情報の効力がなくなるので、不正に登記識別情報を取得した者による悪用を阻止することができます。

ただし、権利証が登記済証であるときには、この申出は利用できません。

不動産を相続したけど権利証(登記済証)が見つからない場合はどうすればいい?

不動産を相続したけど「権利証が見つからない」という場面はそう珍しくありません。

被相続人(親など)が間違えてすでに処分してしまっている場合もあれば、他人がしまったものだから見つけられないということも十分に考えられるからです。

そんなとき、「権利証がないから相続手続き(相続登記)ができない!」と慌てる必要はありません。

相続登記の場合には、原則として権利証(登記済証・登記識別情報)は不要だからです。

相続登記に権利証が必要な場合とは?

相続登記には原則として権利証は不要ですが、「被相続人の現住所が登記簿に示された住所と異なる場合」には、権利証が必要となります。

たとえば、鈴木二郎さんの土地を相続登記することとします。

亡くなった被相続人の鈴木二郎さんは、東京都港区赤坂1丁目1番1号に土地を持っていました。

しかし鈴木二郎さんは50年前に購入した神奈川県横浜市の土地を「住所変更登記をしないまま」亡くなってしまったのです。

この場合、登記簿上の住所と現住所が違うので、東京都港区の鈴木二郎さんと、神奈川県横浜市の鈴木二郎さんが同一人物であるかどうかを明確には判断できません。

そのため「権利証」が必要となるのです。

ただし、住民票や戸籍の附票といった他の公的書類によって、登記上の住所と現在の住所をつなげることができれば、権利証がなくても相続登記は可能です。

とはいえ、住民票の保管期限は5年となっているため、引っ越しが大昔であるときには、住所の記録をつなげられないということもありえます。

住所記録もつなげられない、権利証もないというときには、他の間接的な証拠なども踏まえた情報を綴った「上申書」を法務局に提出して本人確認をお願いすることになります。

このケースでは、専門家のサポート無しに登記手続きをすることは難しい場合が多いので、司法書士に相談することが適切といえます。

権利証(登記済証)を管理するおすすめの方法

権利証(登記済証・登記識別情報)は、不動産を売却するときに必要となるだけでなく、再発行できないものなので、紛失しないようにきちんと管理・保管することが大切です。

したがって、クリアファイルに挟んでどこかに置いておくといった扱いではなく、自宅の金庫にしまっておくといったような、厳重な方法で管理・保管すべき書類といえるでしょう。

しかし、ここまで解説してきたように、権利証だけを失ったことで、重大な不利益が生じることは、あまり考えられません。

むしろ、「実印」、「印鑑証明(登録カード)」と同じところで保管をする方が、紛失した場合のリスクが高くなるといえますので、「これらのものと同じところに保管しない」ように注意すべきでしょう。

権利証(登記済証)に関することを質問したい場合の窓口

権利証についての相談したい(質問したい)ときの窓口として考えられるのは、次の資格者や公的機関です。

  • ・不動産(仲介)業者
  • ・司法書士
  • ・法務局
  • ・公証役場
  • ・弁護士

実際に質問・相談したい内容によって、行くべき窓口が異なるので注意しましょう。

たとえば、不動産売買に関することであれば、仲介を依頼している(依頼しようと思っている)不動産業者に質問するのが最も便利でしょう。

また、相続であれば、司法書士や法務局、他人に不動産を売却されたかもというケースでは弁護士に相談するのが最も良いと思われます。

まとめ

権利証は、紛失してしまっても、売却・相続の手続きができなくなるというわけではありません。

しかし、権利証を紛失すれば、不必要な手間・費用がかかってしまいます。

また、「権利証がない」ということで、不安な気持ちになるといった精神的な負担が発生することもあります。

権利証は再発行の出来ない書類ですから、きちんと管理しておきましょう。

万が一、「権利証がない」というときには、仲介業者や司法書士にできるだけ早く相談しましょう。

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