瑕疵担保責任を知らずにマンションを売ると告知義務違反になりますよ

この記事では、

売りたい人

マンションを売る際の、告知義務って具体的にどういった事項が当てはまるんだろう?

ネットでいろいろ調べていたけれど、結局何が告知義務に当てはまるのかよくわからない・・・。

こういった疑問に答えます。

告知義務は、「マンションの買い手にとって不利になる情報があれば、売り手は契約までにきちんと伝えておく必要がある」ことを指します。

例えばあなたが新しくマンションの一室を買ったとしましょう。

売買契約成立後にその部屋で過去に自殺した人がいたと知ったらどう思いますか?

「自殺した人がいただって!!その話を知っていたらこんな部屋買わなかったよ!!」

きっとそう思うことでしょう。

このように、買い手にとって購入するかどうかを決める重要な要素になる情報を隠していた場合は、告知義務違反となります。

契約を解除されるだけでなく、損害賠償を支払う事態になることも珍しくありません。

これからマンションを売ろうとしているあなたは、「告知義務」にあたる情報をきちんと理解してトラブルを避けなければいけません。

先に結論をお伝えしておくと、「告知義務」には明確な基準が存在しません。

過去の裁判の例など参考になるデータもありますが、あくまでも「買い手がどう感じるか」に依存するのです。

今回の記事では、下記の3点を中心にお話していきます。

  • ・告知義務の概要
  • ・4つの瑕疵(欠陥)
  • ・告知義務に関する過去の判例

この記事をしっかりと読み込んでもらえば、告知義務のキモの部分を抑えることができるので、ぜひ読み進めてみてください。

もくじ

マンション売却で気を付けるべき「告知義務」とは?

改めて告知義務について説明しておきます。

「告知義務」は宅建業法で規定されており、買い手が不利益を被る可能性がある契約に対して適応されます。

売り手としては不利な情報は隠して、できるだけ早く高く売りたいという意識があるでしょう。

しかし、ネガティブな情報を隠したまま売買が成立すると、あとで売買契約を取り消されたり、損害賠償を請求される可能性があります。

ただし、すべての情報を買い主に伝える必要があるわけではありません。(後程、詳しく説明します。)

買い手側の視点をおざなりにすることなく、曖昧なポイントは不動産会社に相談しながら進めるようにしましょう。

買い手への告知のタイミングは?

あなたのマンションに何かしらの告知義務に当たる事項がある場合は、売買契約を結ぶタイミングで伝えるようにしてください。

それまでにしっかりと不動産会社と話し合いをし、どこまでの情報を買い手につたえる必要があるのかすり合わせて契約に臨みましょう。

契約を交わした後に、

売りたい人

実は私の部屋で、〇〇という問題があったんです・・・。

と、後から不動産会社に問題を打ち明けても遅いです

内容によっては、契約違反になる可能性もあるので十分に注意してください。

不動産会社の発言を鵜呑みにしない

基本的に不動産会社にはすべて情報を開示するようにしてください。

しかし、不動産会社に情報をきちんと伝えたとしても、彼らの意見を鵜呑みにすることは危険です。

あ、このマンションで以前〇〇があったんですね。

大丈夫です!それはわざわざ買い主さんに伝える必要はありませんよ!

不動産屋さん

といわれても、厳密には不動産会社が告知義務かどうかをすべて判断することはできません。

もっというと、確実に売却を推し進めたいがために、本来伝えるべきことを伝えなくていいと言っている可能性もあるのです。

一番確実なのは、第三者的立場であり、法律の専門家である「弁護士」に相談することです。

当然費用はかかりますが、のちのち大きな問題になる可能性をつぶしておくための必要経費といえるでしょう。

マンション売却時に気を付けたい4つの瑕疵(かし)とは?

告知義務にあたる事案は大きく4つの瑕疵(かし)に区分されます。

(瑕疵とは、本来備わっていなければいけない機能や、品質が備わっていないという意味です。)

  1. 物理的瑕疵(雨漏り、白アリ、建てつけの悪さなど)
  2. 法律的瑕疵(建て替えができない、耐震基準を満たしていないなど)
  3. 環境的瑕疵(暴力団事務所、廃棄処理場、葬儀場などが周囲にあるなど)
  4. 心理的瑕疵(殺人、自殺、事故が過去にあったなど

一般的にイメージのつきやすい瑕疵は、雨漏りや、シロアリ、騒音などでしょうか?

他にも、その物件で過去に死亡した人がいる、事件があったことも瑕疵に含まれるケースがあります。

告知義務にあたる問題例

実際に告知義務にあたる問題例をいくつか挙げておきます。

  • 殺人
  • 自殺
  • 事故死
  • 孤独死
  • 隣人トラブル
  • 暴力団の事務所
  • 廃棄物処理場
  • 白アリ
  • 雨漏り
  • 眺望
  • 近隣の建造物
  • 向き
  • 日照り、通風
  • 騒音
  • 異臭
  • 日照

例えば、過去に死亡事故があった物件で、その情報を買い手に説明せずに売買契約を成立させた場合。

同じ殺人事件にも関わらず、賠償責任を負うものもあれば、売買契約解除になるものもあり、告知義務に当たらないケースもあります。

判断基準はケースによってさまざまで、

  • 事件発生からの期間
  • 都心部か、地方か
  • 事件発生後に買い手がついたことはあるか

など、様々な観点で判断がなされます。

一概にこのケースは告知義務違反になると言い切ることはできないわけです。

 

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心理的瑕疵にあたる告知義務の判例

ここからは、実際に4つの瑕疵のパターンに分けて、過去の判例を紹介していきます。

かなりケースバイケースの要素が大きいですが、

「告知義務にあたるかどうかの基準は何なのか」

を理解する上で参考にしてみてください。

告知義務違反として、買い主の要求が認められたケース

5か月前に首つり自殺があった中古住宅の売買

→5か月という比較的短い期間、売り主が認知したうえであえて伝えていなかったことから、買い主からの損害賠償の要求が認められた。

6年前ベランダで首つり自殺があったマンションの売買

→売り主は事件後も居住し続けていたが、買い主が子供もいる家族での購入だったため、6年という期間が経過していても、影響があると判断。

買い主からの契約の解除と違約金請求が認められた。

6年前、物置内で農薬自殺をはかり亡くなった人がいる住宅の売買

→6年という期間は、物件が農村部であることから長期とは認められず、買い主側の売買契約を解除する要望が認められた。

告知義務違反ではないとして、買い主の要求が棄却されたケース

7年前、蔵で首つり自殺があったが、売買の時には取り壊されていた住宅

→7年の年月が経過している、蔵がすでに存在しない点、意に介さない買取希望者が他にたくさんいた。よって瑕疵なしの判断。

8年前、共同住宅で焼身自殺があり、そのあと駐車場として使用されていた土地の売買

→土地の上に建てられた買い主の分譲住宅はすべて埋まっていたため、瑕疵はないと判断された。

2年前、殺人放火事件があった都心商業ビルの売買

→匿名性が高い都心部に存在しており、一般の人々への影響は少ないと考えられる。

事件を知ったうえで、他の貸借人が入居していることもあり、売却許可決定の取り消しは棄却された。

参考:心理的瑕疵に関する裁判例について

心理的瑕疵の判例からわかる5つの判断基準

他の3つの瑕疵の場合は、判例のケースが多岐にわたるため、共通の基準を見つけることが困難です。

心理的瑕疵の判例に関しては、裁判の決め手になる共通の判断基準が下記の5つに大きく絞ることができます。

  1. 事件や事故があってからの経過年数
  2. 事故があった後に居住した人(or居住したいと思う人)の有無
  3. 物件の所在地が都市部か農村部か
    (都市部の物件は匿名性が高いと考えられるので、告知義務の重要性が小さい)
  4. 事故・事件があった建物が今も残っているか
  5. 自然死かそれ以外による死亡か

例外もありますが、上記の5つは必ず押さえておきましょう。

また、先ほど紹介した判例は「すべて容認orすべて棄却」の事例のみでした。

実際には、一部を容認するケースもあるので、すべて白黒はっきりするわけではありません。

複数の要素を加味して、最終的な判断が下されることを押さえておいてください。

物理的瑕疵(雨漏り、白アリ、建てつけの悪さ等)にあたる告知義務違反の判例

続いては、物理的瑕疵に関する判例を紹介していきます。

高圧送電線の一部がかかっている戸建の売買の事例

→高圧送電線がかかるのはごく一部の面積であること、危険性に関して具体的な根拠がないことから、損害賠償の要求は棄却された。

しかし、高圧送電線の説明が事前になされていなかったため、買い主は慰謝料と弁護士費用を受け取ることができた。

土壌汚染が判明した土地の売買の事例

→マンション建築のための土地を購入した買い主が、買い主負担で土壌汚染の調査を行ったところ、汚染の事実が見つかった。

売り主は土壌汚染の事実を否定したが、明確な反論の根拠がなく、買主の要求が容認された。

すぐに分譲業者に転売をした土地の売買の事例

→土地の買い主は、転売をする際に土地汚染や地中障害物に対して、対策費用を支払う必要があった。

その金額を土地の売り主に対して請求したものの、

東日本大震災の影響で液状化の被害を受けた物件の事例

→震災の影響で液状化の被害を受けた分譲住宅の買い主が、分譲会社に対して、地番改良工事を怠ったとして訴えを起こした。

しかし、液状化対策を実施したうえで、想定を上回る震災被害により発生した事案であると判断され、買い主の要求は棄却された。

参考→売買に関する紛争 – (2)瑕疵・その他 – 土地瑕疵

法律的瑕疵(建て替えができない、法律に違反している等)にあたる告知義務違反の判例

次は、法律的瑕疵にあたる告知義務のケースを紹介します。

接道義務を満たしていない物件の売買の事例

→接道義務を満たしていないために、建て替えができない物件であったにもかかわらず、売買契約書に一切の記載がなかったので、要求が一部認められた。

市街化調整区域内に位置していた物件の売買の事例

→市街化調整区域内の制限を仲介した不動産業者が説明をしていなかった。建て替えができると嘘をついたため、買い主に対して損害賠償が命じられた。

建築基準法に関する制限を仲介業者が買い主に説明しなかった事例

→仲介業者は買い主が建て替えを行いたいという意向を聞いていないし、審査した上でないと判断しようがない事項であるため、買い主の要求は却下された。

水道がない土地の売買の事例

→水道がない事実は売買契約より前に事前に伝えられていたため、告知義務違反ではないと判断された。

参考→売買に関する紛争 – (2)瑕疵・その他 – 権利・制限等に関する瑕疵

環境的瑕疵(隣人の騒音被害、暴力団関係者が住んでいる等)にあたる告知義務違反の判例

最後の瑕疵は、周辺の環境に関しての瑕疵に関する判例を紹介します。

近隣に暴力団関係者が住んでいた宅地の売買の事例

→宅地を購入した買い主が住宅を建設しようとしたところ、暴力団関係者とおぼしき隣人から、建築設計を変更するように脅された。

隣人がそのような人物であることを知らなかったものの、売り主側に事前の説明義務はないため、契約の解除は不可能。

損害賠償金のみ一部支払うことで決着した。

隣人とのトラブルが発生している土地建物の売買の事例

→土地建物を購入した買い主が、隣人のクレームにより、結局引っ越しをすることすらできずに住むことをあきらめた。

売り主は買い主に対して、隣人の状況の一部しか説明していなかったため、売買代金の一部を不動産価値の減少分として支払うよう命じられた。

近隣に別のマンションが建設された高層マンションの売買の事例

→買主は眺望権が侵害されたと訴えたが、売買契約を結ぶ前段階で、近隣に建築物が立てられる可能性について十分な説明がされていたため、要求は却下された。

前面にゴミステーションが設置されていた土地の売買

→売買契約のタイミングで、売り主、代理販売業者、買主のいずれもゴミステーションの存在を認知していなかった。

販売代理業者がゴミステーションの移動させるための努力をしていた点や、ゴミステーションの存在は必要な施設かつ恒久的なものではないとし、買い主の要求が棄却された。

参考→売買に関する紛争 – (2)瑕疵・その他 – 周辺環境

告知義務を理解する上で重要な2つの心構え

これまでお伝えしてきた通り、「告知義務」に絶対の正解は存在せず、ケースバイケースであることが分かっていただけたと思います。

しかし、告知義務を理解する上で大切な心構えは存在します。

今回は2つの心構えをお話しするので、しっかり読み込んでおいてください。

1、マンションの状況を正しく理解する

告知義務の盲点になるのが、「売り主」も知らなかったという点。

売り主が把握していなかったとしても、4つの瑕疵にあたるのであれば告知義務違反になる可能性があります。(無過失責任)

売買契約を結ぶ前に、インスペクション(住宅診断)を実施するなどして、正しく把握しておく事をおすすめします。

2、不動産会社or弁護士に相談をして、買い手に誠実に伝える

きちんとマンションの状況を把握することと合わせて、「どこまでの情報を買い主に伝えるのか」の線引きをすることが重要です。

売り主のあなたとしては、伝える必要のない事項まで伝えて値引き交渉されることは避けたいはず。

まずは、ありのままの情報をきちんと不動産業者に伝えること。

それでも不明点が残るようであれば、弁護士に相談をすること。

その上で、買い主に伝えるべき事項とそうでない事項の線引きを明確にしましょう。

マンションを売る時に瑕疵担保保険を付けることもできます

ここから、マンションの売り手視点ではなく、買い手の視点の話をしておきます。

まず、新築物件を購入した場合に住宅の基本的な構造箇所に問題が見つかった場合は、10年間無料で修理・修繕してもらうことができます。

この保証は、「住宅品質確保促進法」によって、すべての新築物件に適応されている保証です。

中古物件を購入した場合は、売り主が宅地取引業者か個人かによって異なります。

  • ・売り主が宅地建物取引業者の場合=2年以上瑕疵に責任を負う義務がある。
  • ・売り主が個人の場合=数か月、もしくは保証なしの場合も。

上記の説明では、対応に幅があって分かり辛いかと思うので、もう少し具体的な数字を出してみましょう。

国土交通省が発表している「中古住宅売買における瑕疵担保期間について」によると、

  • ・売り主が宅地建物取引業者の場合、マンションの瑕疵担保保証期間は2年が70%で最多。次いで5年の11.7%、10年が5%と続いている。
  • ・売り主が宅地建物取引業者の場合、マンションの瑕疵担保保証期間は0か月(現状有姿)が56.7で最多。次いで、2~3か月が15.5%、7か月~1年が8.2%と続いている

ことが分かります。

つまり、宅地建物取引業者の大半は2年の保証、売り主が業者以外であればそもそも保証がないケースが6割を占めるということです。

買い主としては、期間経過後に告知義務違反を申し出ても、対応できないケースがあるので、十分注意が必要になります。

必ず売買契約書を確認して、後々の問題を避けるようにしましょう。

まとめ

マンションを売る際に注意すべき「告知義務」について、様々な観点から説明しました。

「告知義務」に関して押さえておくべき3つのポイントは、

  1. 自分のマンションの状況を正しく把握しておく
  2. 過去の判例を参考にしながらも、不明な点は不動産業者に相談する
  3. 誠実に買い手に情報を伝える

この3つです。

マンションを売りたい人にとって、「早く高く売りたい」という思いがあることは重々承知しています。

しかし、「告知義務違反」を犯すことによって、売買契約を解除された上に賠償責任を負う羽目になっては本末転倒。

売り手、買い手ともに最後まで気持ちよく売買契約を結ぶことができるように、誠実な対応を心がけましょうね。

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