ケース別マンション売却

  • twitter
  • facebook
  • b!
  • v

【完全版】亡くなった親の家はどうする?相続手続きから活用法、売却のタイミングまで解説

 

日本ではマイホーム所有率が非常に高く、高齢者の8割は所有していると統計で判明しています。

あなたのご両親もマイホームを所有していたら、いずれは家を相続することになるかもしれません。

その時、何も知識がなければ経済的に大きく損する可能性や相続人間でトラブルが起きる可能性があるのです。

親の家を相続したら、しかるべき手続きをして、何らかの使い道をしなければいけません。

本記事では、死亡した親の家の5つの使い道、税金面から考えた売却のタイミング、相続や売却に必要な手続きなどを解説します。

記事を読むことで、親の家を相続する際に必要な知識が丸わかりするでしょう。

それでは早速見ていきます!

死亡した親の家はどうする?5つの選択肢を紹介

死亡した親の家の使い道は主に5つあります。

住み続けたり、売却や賃貸に出したりするのが一般的ですが、場合によっては解体や相続放棄が有効な時もあるのです。

ここからは、5つの使い道のメリット・デメリットを紹介するので、あなたに合った選択ができるようになりましょう。

1.親の家に住み続ける

親と一緒に住んでいた方、もしくはマイホームを持っていない方は、親の家に住み続ける選択肢があります。

相続税こそかかりますが、一番手間も時間もかからない活用法でしょう。

ただし、相続人が複数いる場合は要注意。

一戸建て・マンションともに資産価値は数百万円から数千万円になるほどです。

やはり高額な資産を1人だけ受け継ぐということなので、相続争いが発生する可能性があります。

特に、不動産は分割できないという性質上、揉める可能性が非常に高いです。

おそらく、代償分割という手段を取って家を相続した方が、他の相続人にお金を支払う可能性が高いでしょう。

相続人が1人ならば問題ないですが、複数人だと面倒になる選択肢です。

2.  家を売却処分する

相続した家を使う予定がないのなら、売却して現金に変えるのがおすすめ。

個人間売買も可能ですが、多くの方は不動産会社を仲介しての売却となるでしょう。

売却処分のメリットは2つ。

1つ目はまとまった現金を手に入れられることです。

築年数や物件情報などによりますが、数百万円から数千万円で売れます。

2つ目のメリットが、相続分割しやすいことです。

住宅のままだと分割できなくとも、現金に変えることで、円滑に分割できるようになります。

売買価格から諸経費を差し引いた純利益を、相続人の数で分割するといいでしょう。

ただし、売買価格の約1割が諸経費としてかかれば、確実に売却できるとも限りません。

時間がない方などは、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」を検討するといいでしょう。

買取ならば、仲介手数料がかからず、契約締結から最短1週間後に現金を手にできます。

売却と言っても、仲介売却や直接買い取り、個人間売買など様々あるので、あなたに合った方法を選ぶようにしましょう。

3.賃貸に出す

魅力的な物件なら賃貸に出すのもいいでしょう。

賃貸に出すことで、毎月の家賃収入に期待できます。

また、確定申告の際に固定資産税などを経費として計上できるため、税金節約もできるのです。

しかし、賃貸に出すのは大きなリスクもつきまといます。

最大のデメリットこそが、入居者を集めるのが難しいこと。

いつまでも借り手が見つからなければ、税金や維持費だけ出ていく赤字物件となります。

需要のある都心こそ高い入居率に期待できますが、地方部はそう簡単に不動産経営できません。

以下のいずれにも該当しないのなら、賃貸に出すのは避けた方がいいでしょう。

  • ・都心にある
  • ・立地が良い
  • ・間取りが魅力的

また、一戸建ての需要は少ないため、基本的にはマンションを賃貸に出すようにしてください。

物件の賃貸化は不安定な入居率の他、将来的な売却額が下がる、入居者トラブルの可能性、初期費用がかかるなどのデメリットもあるのです。

不労所得という大きな魅力がある反面、大きなリスクもあるので、しっかりと考えてから賃貸に出しましょう。

4.家を解体して更地にする

相続した家が古い一戸建ての方におすすめなのが、家を解体することです。

一般的に、一戸建ての資産価値は築年数20年を超えると、ほぼゼロになると言われています。

ただ、住宅性能も高まっていることもあり、築20~30年までなら一戸建てでも売却できる可能性はあるでしょう。

それ以上になると買い手を見つけるのが難しくなるため、解体するのがおすすめです。

実は、古い家を解体するメリットは多くあります。

まず古家を解体することで、土地の売却価格が高くなることがあるのです。

解体費用以上の効果をもたらすことがあり、早く高く売れる可能性は上がるでしょう。

また、残った更地は様々な用途で使えるのも魅力。

例えば、更地を駐車場にして貸し出すと、賃貸よりも安定した収入に期待できます。

家の管理義務からも解放されるため、築年数が古い売れにくい家を相続した方にはおすすめの方法です。

真っ先に挙げられるデメリットは高額な解体費用でしょう。

家の大きさや業者などで費用は異なりますが、木造住宅で坪単価4万円、鉄骨やコンクリート住宅で坪単価6~7万円が相場となります。

さらに、解体の翌年以降の固定資産税が上がる点にも注意です。

その理由は、毎年かかる固定資産税は、土地の上に住居があることで軽減されるため。

住居を解体することで、軽減がなくなるというわけです。

注目したいのは、固定資産税が上がるタイミングです。

解体してすぐに上がることはなく、税金が上昇するのは解体の翌年から。

つまり、解体した年に土地を売り切れば、高額な固定資産税を免れます。

土地の売却にも時間がかかるため、年の後半に解体するのではなく、年が明けてから解体したほうがいいかもしれません。

5.相続放棄する

親が所有していた家が、とても古い状態になっていて、売却どころか寄付さえも難しそうなら、思い切って相続放棄する選択肢もあります。

次の項で解説しますが、親の家を空き家として放置しておくと、経済的に大損してしまいます。

そのため、使う予定のない親の家は早めに処分しなければいけません。

ただ、処分できそうにないと判断したら、相続放棄を考えましょう。

その名の通り、相続放棄することで親の財産に対する相続権を失えます。

ここだけ見ると、相続放棄すると親の家と無関係になれると思えますが、実はそうでもありません。

法律で、空き家の次の相続人が出るまでは、相続人に管理義務が残ると定められています。

相続放棄をしても、すぐに管理義務から解放されないのは大きなデメリット。

すぐに管理義務からも逃れたいなら、家庭裁判所に申し出て、相続財産管理人を選定するといいでしょう。

100万円近い費用こそかかりますが、いつまでも空き家を所有し続けるよりは、経済的負担はずっと軽くなります。

親の家を空き家のままにしておくリスク・デメリット

空家問題が深刻化している今、親の家を空き家として放置し続けることは、絶対に避けるべきです。

使用していない空き家と言えども、毎年の固定資産税に加えて、管理維持費用がかかります。

適切な管理がされていない空き家は、災害による倒壊や不審者侵入リスクなどを高めるのです。

もし地方自治体に「特定空き家」と認定されてしまうと、固定資産税が高くなり、最悪の場合は強制解体が実施されます。

そのため、空き家の管理は所有者の義務であり、遠方に住んでいる方は管理代行サービスを利用しなければいけません。

例えば、毎年の固定資産税が10万円、毎月の管理費が1万円としましょう。

この場合、年間22万円、空き家を5年放置するだけで110万円もかかるのです。

経済と管理リスクは手放せばなくなります。

しかし、一番怖いのが空き家の処分ができなくなることです。

かつての日本では、マイホームを持つのが人生のゴール、と考えられている時代がありました。

多くの方が一軒家を所有したものの、今では高齢者となっているのです。

所有者が亡くなり、持ち家が子供に相続されたものの、人口減少が進んでいる日本では貰い手が見つかりません。

結果的に、空き家の数だけ増加しているのです。

今でさえ深刻な空き家問題ですが、2033年には3軒に1軒が空き家になると予測されています。

そうなると、ライバルである空き家の数が多くなりすぎて、売却できるどころか無料でも引き取ってもらえないでしょう。

大きな負債物件を所有し続けることになるため、すでに相続した方は早めに対処すべきです。

また、数年後の処分が難しくなった時代に、親の家を相続するのもリスクが高いです。

今のうちにできることもあるので、親として対策を取っておくのも1つの手でしょう。

親の名義のまま子供が住み続けることはできるのか?

土地や建物を取得した際は、管轄の法務局で不動産登記をするのが一般的です。

不動産登記の目的は、建物や土地の所有者を明確に定めるため。

これは親の家を相続した場合も同じで、相続で所有者が変わると、不動産登記を行わなければいけません。

しかし、厳密に言えば、法律で不動産登記の義務は定められていません。

あくまでも不動産登記は任意で行うものなのです。

ただ、不動産登記を怠ったために、トラブルが発生したケースは多々あります。

例えば、相続した家の場合だと、不動産登記を行わなければ、各種手続きが複雑化するのです。

法律上の所有者は故人のままとなり、相続人の1人が結婚などすると相続関係者も増えていきます。

相続関係者が20人などになった時、いざ不動産登記や売却しようとしても、相続関係者全員の同意が必要となるのです。

また、将来的に他の相続人の気が変わり、家の権利を求めてくる可能性も考えられます。

そうなると、相続争いは避けられません。

このように、不動産登記を怠ると、様々なトラブルの可能性が生じるのです。

遺産分割協議の後に、親の家を相続したら、速やかに不動産登記を行うようにしましょう。

親の家を売却する流れ・タイミング

親の家を売却するタイミングは2つあります。

それが、売却してから相続する、もしくは相続してから売却するです。

どちらにもメリット・デメリットがあり、あなたに合ったタイミングを選びましょう。

ここからは、親の家を売却するタイミングや手順、かかる費用と税金などを解説します。

家を売却するタイミング

売却するタイミングによって、利用できる税制は異なります。

まずは2つの売却タイミングのメリット・デメリットを見ていきましょう。

親の家を売却してから相続するメリット・デメリット

これは生前に親が持ち家を売却して、現金となった売却益を相続人で分割する方法です。

先に売却する時に利用できる税制は、3,000万円の特別控除、もしくは譲渡損失の繰り越し控除となります。

自宅を売却して得た資金が、家の取得費と売却にかかった費用の合計よりも多くなった場合、譲渡所得税が発生します。

譲渡所得税は大きな額となりますが、自宅として使用していた場合は、3,000万円の特別控除が適用されるかもしれません。

この控除を利用すると、売却益が3,000万円までなら課税額はゼロになるのです。

対して、売却して損失が発生した時に使えるのが、譲渡損失の繰り越し控除。

これは損益と翌年の所得税を相殺する制度で、損失が多ければ最長4年間住民税と所得税をゼロにできるのです。

このように、先に売却することで、親が税金面でメリットを受けられる可能性があります。

また、築年数が浅いうちに売却できるため、相続後に売却するよりも多くの金額を得られるでしょう。

デメリットは、相続税評価額が高くなることです。

家などの不動産の場合、相続税の評価額は通常よりも下げられます。

しかし、現金として残しておくと評価額は圧縮されないため、相続税額が高くなるのです。

親の家を相続してから売却するメリット・デメリット

親の家を相続した後に売却しても、税控除を使える可能性があります。

まず被相続人(親)に配偶者がいないもしくは相続人が同居していなければ、3,000万円の特別控除の特例が適用されるかもしれません。

ただ、使用要件は様々あります。

なかでも注目したいのが昭和56年5月31日以前に建築され、現行の耐震基準を満たす必要がある、という条件。

この2つの条件は矛盾しているため、多くのケースで耐震工事が必要となるでしょう。

耐震工事は莫大な費用がかかるので、古い家なら解体して更地を売却したほうが、費用対効果が高いかもしれません。

もし子が親と同居していた場合は、相続後も子が居住し続けることを条件に、家は子供の自宅になります。

そのため、通常の3,000万円特別控除と譲渡損失の繰り越し控除の対象となるのです。

相続後に親の自宅を売却するならではのメリットは、「小規模宅地の特例」でしょう。

相続直前に子が親と同居していた場合、330㎡を限度に相続税の評価額を80%減額できるのです。

1,000万円の評価が200万円になるということなので、大きな違いですよね。

もし相続人が親と同居していなくとも、

  • ・被相続人に配偶者や同居親族人がいなかった
  • ・過去3年間、自分と配偶者が所有する家に住んだことがない

この2つの要件を満たしておけば、他の諸要件を満たすことで、小規模宅地の特例が適用されます。

しかし、小規模宅地特例には知っておくべき弱点があるのです。

それが「取得費加算の特例」の効果を弱めること。

取得費加算の特例とは、相続した親の家を売却した時、相続税を譲渡所得額から差し引ける制度です。

譲渡所得額を大幅に差し引ける制度ですが、取得費加算の特例と併用すると、譲渡所得税があまり軽減されなくなります。

相続後に売却する際は、取得費加算の特例と小規模宅地の特例、どちらが得するか計算する必要があります。

親の家を売却する手順

一般的な親の家を売却する手順は次の通りです。

不動産登記変更

不動産会社探し

媒介契約締結

売却活動開始(内見対応)

交渉と売買契約成立

引き渡し

確定申告

売却活動の主な内容は内見対応のため、それほど大変ではありません。

力を入れるべきなのが、不動産会社選びです。

依頼する不動産会社によって、売却価格から成約までの期間が大きく異なります。

信頼できる不動産会社を選ぶポイントは、複数会社の査定比較です。

2~3社の査定を見比べることで、プロによる家の相場が掴めます。

また、査定結果が出た際には、その査定額になった根拠と売却までのストーリーを聞きましょう。

そうすることで、信頼できる不動産会社と営業担当のレベルを見極められます。

不動産会社が決まれば、内見対応以外で大きな活動はありません。

忘れずに行いたいのが確定申告です。

3,000万円の特別控除や譲渡所得税の損失を利用するには、売却した翌年の確定申告が必須。

最後までしっかり行って、優遇税制度を利用しましょう。

親の家を売却する際にかかる費用

家を売却する際にかかる費用と税金の合計は、売買価格の約1割とも言われています。

まずは売却でかかる費用を見ていきましょう。

  1. 仲介手数料
  2. 登記費用
  3. 解体費用

1. 仲介手数料

不動産会社を仲介して売却したら、仲介手数料が発生します。

仲介手数料の上限は法律で定められていて、基本的に上限いっぱい請求されるでしょう。

上限額は売買金額で異なりますが、400万円を超える場合は以下の計算式で求められます。

  • ・売買価格×3%+6万円+消費税

2,000万円で売買が成立すると、仲介手数料の上限額は66万円+消費税となります。

大きな金額になるので、事前に仲介手数料額は尋ねておきましょう。

2. 登記費用

不動産の売却をする時、所有権を売主から買主へ移転しなければいけません。

この登記移転にかかる費用は売主が負担するのが基本です。

3. 解体費用

親の家を解体して更地にする時、まとまった解体費用がかかります。

最も多い30坪の木造住宅でも、120万円の費用となるでしょう。

親の家を売却する際にかかる税金

次に見ていくのは、売却の際にかかる税金です。

相続税をはじめとした、様々な税金が発生するので、事前に準備しておきましょう。

  1. 相続税
  2. 固定資産税
  3. 印紙税
  4. 譲渡所得税

1. 相続税

最も負担の大きい税金が相続税でしょう。

しかし、相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」の基礎控除額があります。

法定相続人が2人なら、4,200万円を超えない限り、相続税はゼロとなるのです。

現金などは数えやすいですが、不動産の財産価値は分かりにくいですよね。

そこで家の相続税は、建物と土地の両方から評価をして、2つの合計を家の資産価値とします。

家の相続税を考えるときに、忘れてはいけないのは小規模宅地の特例です。

330㎡を上限に評価額を80%下げられる特例でした。

例えば、家の評価額が4,000万円の場合、法定相続人1人で400万円部分が相続税の対象となります。

しかし、小規模宅地の特例が適用されると、4,000万円の評価額が3,200万円となるので、相続税がゼロになるのです。

このように小規模宅地の特例が与える影響は大きいので、利用できるかどうか確認しておきましょう。

2. 固定資産税

家を売却した際、売却年の固定資産税は買主と分割します。

基本的には引き渡し日を基準に、日割り計算をします。

その際、固定資産税通知書が必要となるため、事前に準備しておきましょう。

3. 印紙税

印紙税とは、売買契約書に貼る印紙にかかる税金のことです。

印紙税額は売買契約により、次のようになります。

  • ・500万円越え1,000万円以下:5,000円
  • ・1,000万円越え5,000万円以下:10,000円
  • ・5,000万円越え1億円以下:30,000円

4. 譲渡所得税

売却して利益が出た際に発生する譲渡所得税について詳しく見ていきましょう。

譲渡所得税額は2ステップで算出できます。

まずは譲渡所得を出します。

譲渡所得は、売却で得たお金から住宅取得費と売却にかかった費用の合計を差し引くだけです。

取得費と売却にかかった費用には、仲介手数料や各種税金などを含められるので、もれなく計上しましょう。

譲渡所得が出たら、所定の税率をかけるだけで、譲渡所得税額が出ます。

税率は所有期間によって次の通りになります。

  • ・所有期間5年以下:39.63%
  • ・所有期間5年越え10年以下:20.315%
  • ・所有期間10年越え:譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%(6,000万円越えの部分20.315%)

所有期間によって税金額は大きく異なると分かりますよね。

5年未満なら相続後しばらくして売却するという選択肢もあります。

ただ、相続した空き家を売却する場合、相続開始から3年経過する年の12月31日までに売却しなければ、3,000万円の特別控除は適用されません。

親の家を売却する際に必要な書類

親の家を売却する際、様々な書類が必要となりますが、主なものは次の通りです。

・土地測量図

一戸建ての場合、隣人との境界を確認するためにあると望ましいです。

・登記権利証

一度紛失した登記権利証は再発行できません。

そのため、司法書士に本人確認書を作成してもらうのがおすすめです。

・実印と印鑑証明書、本人確認書類

共有名義が複数人いる際、全員分必要となります。

・売買契約書
・重要事項説明書

この他、親の家の情報が確認できる書類があると望ましいです。

なかでも、譲渡所得額を少なくできる取得費を確認できる書類は、よく探しておきましょう。

取得費を証明するためには、当然ながら正式な書類が必要です。

もし書類がなければ、売買価格の5%相当が取得費になると定められています。

つまり、2,000万円で売れた場合の取得費用は100万円とみなされてしまうのです。

取得費用が高くなりそうなら、徹底的に探してみて、親としては家関連の書類をまとめておくといいですね。

親の家を売却する際に利用できる控除制度

すでに軽く触れましたが、親の家を売却する際は、3,000万円の特別控除と軽減税率の特例が利用できます。

ここからは、2つの控除制度についてもう少し詳しく見ていきましょう。

3,000万円の特別控除は、譲渡所得額3,000万円までなら、課税額をゼロにできる制度でした。

相続人が親と同居していたなら、比較的利用ハードルも低いです。

注意点は、家を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内に売却しなければ、適用外になること。

一方、相続人が親と同居していなければ、利用条件は厳しくなりましたよね。

空き家相続の3,000万円特別控除の期限は、2019年12月31日まででしたが、最新の情報では令和5年12月31日の売却までに変更されています。

主な利用要件は、相続開始直前に被相続人が1人で居住していたこと、現行の耐震基準を満たしていること、相続開始のあった日から3年を経過する年末までに売却することなど。

次に見ていくのは、軽減税率の特例。

これは所有期間が5年を超えると、譲渡所得税の税率が軽減される制度でした。

親の家を相続した時にも、各要件さえ満たしていれば利用できます。

また、被相続人の所有期間を継続できるため、多くの方が適用されるでしょう。

親の家の名義を変更する方法・流れ

ここからは、重要な親の家の名義変更の流れや費用、必要書類を解説します。

少し複雑な3つのケースでの名義変更方法も紹介するので、必ず参考になるはずです。

名義変更の手続き

親の家の名義変更のタイミングは2つあります。

1つ目が親が死亡した時、2つ目が親が生きている時です。

まずは親が死亡した時の名義変更について見ていきます。

親が1人で居住していて亡くなると、相続人が1人の場合はそのまま不動産名義変更をするだけです。

不動産名義は自分で行うことも可能ですが、古い戸籍謄本の解読や書類作成などで時間と労力がかかります。

そのため、数万円の報酬を支払って司法書士に依頼するのが一般的です。

相続人が1人だと円滑に進む一方、複数名の相続人がいると一手間かかります。

まず法律で定められた相続人全員で、遺産分割協議を行わなければいけません。

一部の相続人だけではなく、全員で話し合わなければ意味がないので要注意。

法定相続人の漏れを防ぐために、親の全ての戸籍謄本を集める必要があります。

遺産分割協議が終われば、決まったことを正式な文書(遺産分割協議書)にして、相続人全員が実印を押すのです。

この協議書が相続登記変更の際に、法務局に提出します。

次に見ていくのは、親が生きている間の登記変更の仕方です。

登記変更自体は司法書士に依頼する一般的な方法で行えます。

ただし、絶対に知っておくべき注意点が1つだけあるのです。

親の生存中に住宅の登記変更を行った場合、住宅の贈与が行われたみなさら、贈与税の対象となります。

税負担だけで言えば、相続税よりも贈与税の方が重いです。

土地の価格が5,000万円を超えると、税率は55%にもなります。

不動産は資産価値が高いため、高額な相続税を支払う可能性が出てくるでしょう。

名義変更にかかる費用

不動産の名義変更の際には、様々な書類が必要となり、請求費用がかかります。

しかし、各書類にかかる費用は1,000円以内なので、大きな負担にはなりません。

大きな負担となるのは登録免許税のみ。

登録免許税額は、不動産の固定資産評価額に定められた税率をかけて算出します。

税率は名義変更の目的に応じて、次のように変わるのです。

  • ・相続:0.004%
  • ・贈与:0.02%
  • ・売買:0.02%

例えば、固定資産評価額が1,000万円だとしましょう。

すると、相続目的の場合は4万円が登録免許税となり、贈与だと20万円が登録免許税となるのです。

登録免許税でも、贈与と相続では大きな金額の差が生まれます。

また、司法書士への依頼費用も忘れてはいけません。

どこまで依頼するのかで費用は異なりますが、相場は4~10万円ほどです。

例えば、遺産分割協議書や相続人調査などまでしてもらうのなら、8~10万円はかかるでしょう。

名義変更のための必要書類

名義変更には多くの書類が必要となるため、円滑に手続きを終えるためにも、しっかりと準備しておきましょう。

主な必要書類は次の通りです。

  • ・戸籍謄本
  • ・除籍謄本
  • ・改製原戸籍
  • ・戸籍の附票
  • ・不在住証明
  • ・固定資産税評価証明書
  • ・住民票
  • ・全部事項証明書
  • ・印鑑証明書

上の書類のほとんどは、お住いの自治体の役所で申請できるはずです。

これに加えて、相続人が複数人いる場合は、相続分割協議書が必要となります。

こんな場合の名義変更はどうなる?

名義人である父親が死亡し、母親が家に住み続ける場合

これは被相続人の配偶者が家に住み続ける、よくあるケースです。

このケースでも、基本的な考え方は同じで、法定相続人全員の同意を得てから名義変更を行います。

しかし、必ずしも全員の同意を得られるとは限りません。

もしかすると、自分も高額な住宅が欲しいと言う人が出てくる可能性もあるでしょう。

そうなると、相続争いが起きて、家を売却して現金を分割することになるかもしれません。

これを回避するために、新たに配偶者居住権が作られました。

配偶者居住権とは、配偶者が被相続人と住んでいた住居に、終身無償で引き続き住み続けられることを保証した制度です。

高齢者にとって住み慣れた家を手放すのは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。

しかし、配偶者居住権のおかげで自宅を手放す必要はなくなるのです。

配偶者居住権は2020年7月までに施行される予定となっています。

離婚して独身になった親が死亡した場合

悩む方が多いのが、両親が離婚して親権を持たない親が死亡した際の相続。

子供の親権を持たないために、相続人とみなされないと考えられがちですが、親子の縁は切れません。

親権を持たなくとも、子供は親の相続人となる権利はあるのです。

例えば、両親が離婚して、親権は母親が持ったとしましょう。

子供は父親の戸籍から外れることになりますが、父親が死亡した場合、子供は相続人となれるのです。

今回のケースでは、父親には他の相続人がいないということなので、普通の手続きで相続可能。

もし父親が再婚などしていて、他に相続人がいる場合は、相続協議が行われます。

親と子供の共同名義物件に親子で同居していたが、親が死亡した場合

親と子が、共同名義で物件を所有している人もいるでしょう。

原則として、共有者が死亡した場合、被相続人の財産は相続財産となります。

そのため、他に相続人がいなければ普通に名義変更手続きに入り、他にも相続人がいれば遺産分割協議が先に実施されるのです。

ただ、多くの優遇税制度が「居住」を条件していたことを考慮すると、同居していた子供が受け継いだ方がお得ではあります。

相続でトラブルにならないために親が元気なうちに出来ること3つ

正直なところ、相続による財産分割にはトラブルがつきものです。

そのようなトラブルを防ぐためには、親が元気なうちに行動することが一番。

ここからは、相続トラブルを防ぐために、今のうちからできることを解説します。

1.家を売却して現金にする

不動産相続で争いが起きる原因は、家は分割できないからです。

それならば、生きている間に家を売却して、売却資金を残すという選択肢もあります。

現金の相続は、不動産相続と比べて相続税の負担が高くなります。

しかし、次に紹介する生前贈与を活用すれば、使用用途こそ限られますが、贈与税をゼロにすることも可能です。

また、物件の資産価値は年々減ることを考えると、早めに売り出せば高額売却にも期待できます。

もちろん、売却で得た現金は老後資金など、自分のために使うことも可能です。

昔とは異なり、今の中高齢者たちは持ち家を手放して、セカンドライフを送っています。

家を売却することで、相続争いの可能性が減れば、管理義務や空家リスクなどからも解放されるので、ぜひ売却を検討してみてください。

2.生前贈与

生前贈与とは、生きている間に財産を受け渡すことです。

生前贈与を実施すれば、贈与税がかかる可能性が高くあります。

そもそも、贈与税と住宅物件の関係はどのようなものでしょうか?

贈与税は、年間110万円以上の資産を受け取れば発生する税金です。

住宅の贈与となると、ほぼ確実に贈与税の対象となると思われます。

相続税よりも負担が大きいため、住宅そのものを生前贈与すると、損する可能性が高いです。

しかし、1つだけおすすめの方法があります。

それが住宅を売って得た資金を、生前贈与として渡すことです。

生前贈与にはお得な控除制度がいくつか用意されています。

今回注目したいのは、「住宅取得のための贈与の特例」と「夫婦間での贈与の特例」です。

住宅取得のための贈与の特例とは、親や祖父母から子や孫に、住宅用の家を新築・改築する目的で金銭を与えた時に適用されます。

この特例を利用すると、最大1,200万円非課税となるのです。

そして次に見ていくのが、婚姻期間20年以上の夫婦に適用される、夫婦間での贈与の特例。

これは、居住用不動産取得を目的として配偶者に贈与をした場合、2,000万円まで贈与税から控除できるのです。

どちらも不動産取得のためにしか使えませんが、子供や配偶者が住宅購入やリフォームを考えているのなら、いい選択肢になると思われます。

3.遺言書の作成

今すぐできる相続争いを防ぐ方法は、遺言書を作成することです。

誰に何を相続させるのかを明示した遺言書は、法律よりも強い力を持ちます。

遺言書がなければ、法定相続分に基づいて遺産分割が行われるのです。

法定相続分とは、遺産全てを換価して相続人たちに分割する考え。

例えば、3,000万円の価値の自宅と3,000万円の預貯金を相続するとしましょう。

配偶者は住み続ける自宅だけを相続して、預貯金は他の相続人で分割されるのです。

その後の生活のことも考えると、同じ価値の遺産を受け継ぎながらも、現金を一切得られない配偶者は損した気になりますよね。

このような事態を防ぐためにも、生きている間に遺言書を作成しておきましょう。

注意点は、遺言書の書き方です。

多くの方は自分で制作しますが、その場合は字の判別がつきにくく、相続人の間で争いが起きる可能性が出てきます。

そこでおすすめなのが、公正証書遺言を作成することです。

これは公証役場で制作されるオフィシャルな遺言書であり、専門家によって遺言の法的有効性が確認されます。

費用こそかかりますが、遺言書紛失や遺言無効のリスクがなくなるなど、様々なメリットを受けられるのです。

確実に被相続人の意思が反映されるため、配偶者や子供たちのためにも、遺言書は作成しておきましょう。

まとめ

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

死亡した親の家を相続した場合、住み続けたり、売却したり、もしくは賃貸に出したりと様々な活用方法がありました。

まずはトラブルを防ぐために、登記変更を行って、それからあなたに合った活用をしましょう。

一番避けるべきなのが、使うことなく空き家として放置し続けることです。

空き家にするくらいなら、早めに売却して、管理義務と処分できなくなるリスクから解放されましょう。

FOLLOW US!

  • twitter
  • facebook
  • b!
  • v